「赤ちゃん・幼児にステロイドは塗らない方がいい」は大ウソ

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赤ちゃんにステロイドを使わないリスク

子供のアトピー治療に関して

赤ちゃんや小さな子供にはステロイドは塗りたくない!

という気持ち・考えになる方は多いと思います。

ステロイドに限らず、乳幼児期にお薬を使うのはかなり抵抗を感じてしまいますし、

ステロイドの危険性についてインターネットで情報収集すると色々な情報が出てきますから、不安に感じるのもある意味仕方有りません。

私の妻も、最初はステロイドの塗り薬をとても怖がっていました。

 

しかし、むしろ、赤ちゃんや小さな子供のアトピー性皮膚炎にステロイド外用薬を「使わないこと」には、重大なリスクがあります。

この子供にステロイドを塗らないことのリスクについて知れば、「きちんとステロイド外用薬を塗って皮膚炎を鎮めてあげなければ!」と思うはずです。

この記事では、

  • 「乳幼児にステロイドを使ってはいけない」がウソである理由
  • 乳幼児期にステロイド外用薬を使わないことの4つの重大なリスク
  • 乳幼児期の対処がアトピー治療で重要と言われる理由

についてお話したいと思います。


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1. 乳幼児にステロイドを「塗る」ことのリスク

「赤ちゃんや小さな子どもにはステロイドを塗っちゃダメ」と言う方々の根拠は何なのか?

この点について、まずは整理しておきたいと思います。

彼らがこのようにステロイド外用薬のリスクを指摘するのは、主に、ステロイド外用薬の副作用のせいだと考えられます。

例えば、

赤ちゃんにステロイドを塗ると成長が阻害されてしまいます!

とか

ステロイドはやめるとリバウンドで症状が帰って悪化するから、使っちゃダメ。

とか

ステロイドはずっと使い続けるハメになりますよ。

といったオハナシをしてしまうのは、ステロイド外用薬の副作用に関する誤解を持っているか、わざと誤った情報を伝えているかのどちらかが理由です。

 

外用薬を普通に使う限り成長阻害は起こりませんし、ステロイド離脱時のリバウンド症状やステロイド外用薬の依存性については、完全な誤解です。

ステロイド外用薬で全身的な副作用が現れる可能性は極めて低いため、心配は要りません。

 

ステロイド外用薬の使用で副作用が起こるとすれば、皮膚上に現れます。

皮膚が一時的に薄くなる皮膚萎縮や、皮膚に赤みを帯びるステロイド紅潮などの副作用です。

これらについては、しっかりとステロイド外用薬を塗れば、副作用が起こる前にステロイドの量を減らしていき、最終的には止めることが出来ます。

仮に皮膚に副作用が現れた場合でも、ステロイドの使用を中止すれば症状はなくなり元に戻ります。

 

つまり、適切にステロイド外用薬を使う限り、副作用の心配はそれほど要らないわけです。

少なくとも、子供の成長阻害や筋肉や骨へのダメージといった副作用は、ステロイド外用薬では起こり得ません(起こり得るのはステロイド「内服」薬の長期服用の場合です)。

これが、皮膚科医の先生が

ステロイド外用薬の副作用は心配いりませんよー。

と言う理由です。

ステロイド外用薬の副作用についての事実を知ってステロイドに関する誤解を解消すれば、「子供にもステロイド外用薬が使えるんだ」と思えるはずです。

ステロイド外用薬の副作用については↓の記事でまとめていますので、ご参照下さい。

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ここまで、適切に使う限りステロイド外用薬は安全に使えるということをお話してきました。

ですが、子供のアトピーにはステロイド外用薬が「使える」のではなく、むしろ「使わないとマズイ」と私は考えます。

もちろん、私だけではなく多くのアトピー専門医が同様に考えています

なぜなら、ステロイド外用薬を使わない(脱ステロイド)ことには、子供のアトピーにとって重大なリスクがあるからです。

2. 乳幼児にステロイドを「塗らない」ことのリスク

では、乳幼児にステロイド外用薬を「使わないとマズイ」のは何故でしょうか。

それは、乳幼児の脱ステロイドに重大な4つのリスクがあるからです。

2-1. 【リスク1】最悪の場合、生命に関わる

大人の場合、アトピー性皮膚炎は生命の危険のある病気ではありません。

しかし、赤ちゃんの場合は話は別です。

アトピーが重症化して、湿疹から大量の滲出液(黄い液体)が出続ける状態は、かなり危険です。

この点について、子供のアトピー治療に関する書籍から一部引用します↓

小さい子は、ひどくなると、命にかかわる場合もあります。

湿疹がひどくなって、体の広い範囲から黄色い汁(浸出液)が出続けると、危険です。入院が必要になることも。

[注意が必要な症状]
全身にひどい湿疹・湿疹から汁が出る

脱水症状を起こすことがあります

引用元:『正しく知ろう 子どものアトピー性皮膚炎』p24-25
赤澤晃(著) 朝日出版社

体重に占める水分の割合が大きい乳幼児では、脱水症状の危険性は大人に比べて格段に大きくなり、対処を間違えれば命の危険もあります。

赤ちゃんの重度のアトピー性皮膚炎をそのままにしておくことは、このような危険性もはらんでいるということです。

2-2. 【リスク2】子供の成長障害のリスクが高まる

アトピーのお子さんの親御さんならお分かり頂けると思いますが、

お子さんのアトピーが酷いとき、

  • 痒がって寝かしつけに時間がかかってしまう。
  • 寝ている間も痒そうにしたり掻いたりして、熟睡できていない。
  • 夜中に途中で起きてしまう。

ということが多いですよね。

子供の成長には睡眠が必要不可欠で、質の良い睡眠をタップリと取ることが大切と言われていますが、

アトピー性皮膚炎が酷い場合、子供が慢性的な睡眠不足になってしまいます。

もちろん程度にもよりますが、慢性的な睡眠不足がお子さんの成長を妨げるリスクは少なからずあると指摘されています。

 

また、皮膚の健康のためにも十分な睡眠が必要です。

アトピーが酷くて寝られないことは、皮膚炎の悪化に繋がってしまうのです。

つまり、

痒くて眠れない → 皮膚炎が治らず悪化する → さらに悪化する → もっと眠れない → ……

というアトピー悪化の悪循環に陥ってしまうわけです。

このような睡眠に対する悪影響が、ステロイド外用薬を使わないことの2つ目のリスクです。

2-3. 【リスク3】アトピーが慢性化して治りづらくなる

アトピー性皮膚炎はアレルギー疾患の1つですが、アトピーの場合、食物アレルギーだけがその原因ではないことがほとんどです。

例えば、ダニ・ホコリ・カビ・ペットなどに対してもアレルギー反応を起こしてしまうケースが多いです。

これらのアレルギーは、皮膚から異物が侵入することで発症してしまいます。

アトピー肌はかなり乾燥している上に湿疹や掻き傷があるため、皮膚のバリア機能が通常の場合に比べてかなり低下しています。

皮膚のバリア機能がきちんと働いていると、ダニ・ホコリなどの異物が皮膚に触れても体内に侵入することは無いのですが、バリア機能が失われたアトピー肌では簡単に侵入されてしまいます。

体内に侵入したダニの死骸やホコリは、身体の免疫から「異物(アレルゲン)」として判定されて抗体が作られてしまい、アレルギーを発症してしまうのです。

また、乳幼児期に皮膚から侵入するのは、ダニ・ホコリといったハウスダストだけではありません。

お箸やスプーン・フォークが上手く使えない乳幼児の場合、食事のときに口の周りや手・手首に食べ物がついてしまいますが、これによって食べ物に含まれるタンパク質が皮膚から侵入して、食物アレルギーを発症する危険性が指摘されています。

食事の際だけではなく、床に落ちた食べクズが皮膚にくっつくことでも同様のリスクがあると考える専門家もいます。

 

このような、皮膚から異物が侵入することによるアレルギー発症を防ぐためには、皮膚のバリア機能を一定以上のレベルにキープしてあげることが必要です。

そのためには、

  • ステロイド外用薬を適切に使って、皮膚炎をきちんと治してあげること。
  • 入浴・保湿といったスキンケアを徹底してあげること。

が大切です。

うちの息子(1歳7ヶ月)はフォーク・スプーンが嫌いみたいで、手づかみで豪快に食べます。

ですから、たまに出来た手首の湿疹や掻き傷は、ステロイドをきちんと塗ってすぐに綺麗に治してあげることを心がけています。

 

このような皮膚経由のアレルギー発症は「アレルゲンの経皮感作(かんさ)」と呼ばれています。

ステロイド外用薬を使わず、常に皮膚に湿疹がある状態で過ごしてしまえば、このような経皮感作によるアレルギー発症が起こりやすくなってしまうことは明白です。

つまり、アトピーと診断された当初よりも、アレルゲンの種類が増えてアレルギー反応が起こりやすくなり、アトピーが治りづらくなるのです。

乳幼児期の脱ステロイドは、アトピーの慢性化に繋がるということです。

 

ちなみに、ステロイド外用薬や保湿剤を使って皮膚のバリア機能を保つことは、アトピーの慢性化予防だけではなく、アトピー以外のアレルギー予防のためにも重要と言われています↓

小児期の皮膚のバリア機能の異常により、さまざまなアレルゲンの経皮感作が成立し、喘息や鼻炎・花粉症、食物アレルギーなど種々のアレルギー疾患の発症に寄与する可能性が報告されており、

小児期のアトピー性皮膚炎による皮膚のバリア機能障害や免疫異常を治療により適切にコントロールすることが、その後の種々のアレルギー疾患の発症を抑制する可能性も考えられており、アトピー性皮膚炎(AD)治療の意義という点で非常に興味深い点である。

引用元:『アトピー性皮膚炎治療のための ステロイド外用薬パーフェクトブック』p124
塩原哲夫(編) 南山堂

お子さんのアトピーを慢性化させないためにも、ステロイド外用薬を適切に使って乳幼児期を皮膚炎の無い状態で過ごし、このようなアレルゲン経皮感作を起こらないようにすることが大切です。

2-4. 【リスク4】育児に問題が生じ、子供に悪影響が出る

お子さんのアトピーが酷い状態が続くと、お子さんだけではなく親御さんの睡眠も妨げられてしまいます。

子供が痒がって寝られず泣いてしまえば、親も寝られないからですね。

ただでさえ子供のアトピーのことで日々悩んでいるのに、そこに睡眠不足がのしかかれば、精神的にも身体的にもかなりのストレスとなってしまいます。

アトピーっ子でなくても育児は大変なものですから、このような状態が長く続けば、お母さんがノイローゼ状態になる危険性が出てきます。

そうなれば、お母さんの体調はもちろんのこと、お子さんの育児にも影響が出てきてしまいます。

お子さんも辛い・お母さんも限界、こういう状態が続けば、お子さんにとって悪影響が大きくなることは避けられません。

 

悲しいお話ですが、ステロイド外用薬による治療を行わず、お子さん(10ヶ月の赤ちゃん)のアトピー性皮膚炎が重症化・慢性化したご家庭で、練炭を使った一家心中の事件が起こったことがありました。

ステロイド外用薬を避けて、脱ステロイドを伴う高額な民間療法・特殊なアトピー治療を行ったものの、身体的・精神的・金銭的な負担が続き、疲れ切ってしまったのだと言われています。

参照元:『専門医に聞く「新しい治療とクスリ」2 アトピー性皮膚炎』p160
江藤隆史(著) 論創社

程度の差はもちろん有りますが、乳幼児のアトピー治療にステロイド外用薬を使わないという選択は、少なからずお子さんとご家庭に悪影響をもたらすリスクがあるということは確かです。

3. 乳幼児期の適切な対処がアトピー慢性化を防ぐ!

ここまで、赤ちゃん・幼児のアトピー性皮膚炎にステロイド外用薬を「使わない」ことのリスクについてご説明してきました。

ステロイドを塗ってもいいんだ。むしろ皮膚炎を治してあげなきゃダメなんだ。

と感じて頂けたでしょうか。

乳幼児期のアトピー性皮膚炎に対して適切な対処をすることは、お子さんのアトピーの慢性化を防ぐと考えられています。

「適切な対処」とは主に、

  • ステロイド外用薬をきちんと使うこと。
  • スキンケアを徹底すること。

の2つの対策です。

これに、アレルギー食品の除去、ダニ・ホコリ対策、紫外線対策などが必要に応じて加わりますが、

ステロイドをきちんと塗って皮膚炎のないスベスベのお肌をキープし、保湿剤をタップリ使って皮膚のバリア機能を補ってあげること、これだけでも乳幼児期のアトピー対処は十分であると考える医師も多いです。

アレルギーの血液検査で陽性だからといって、その食品を除去する必要は必ずしもありません。

「実際に食べてみて湿疹や痒みが出なければ、除去する必要は無い」というのが、現在の皮膚科医・アレルギー医の主流の見解です。

不必要な除去食・過剰な食事制限は、お子さんの正常な発達を妨げることに繋がります。

というのは、乳幼児期のアトピーの原因のうち、

  • 皮膚の未熟さが原因のドライスキン
  • 腸の未熟さが原因の食物アレルギー

の2つによる影響が大きいと言われていますが、これらは身体の成長とともに自然と改善されていくからです。

赤ちゃん・小さな子供の皮膚は発達途上でそもそも乾燥しやすいですし、胃腸の消化能力が低くて腸壁の目が粗いことで食物アレルギーが起こりやすくなっていますから、アトピー性皮膚炎になりやすい条件が揃っているのです。

これらのアトピーの原因は成長とともに次第に解消されていき、実際、皮膚炎も出なくなっていくお子さんも多いです。

これが、「子供のアトピーは大きくなると治る」と言われる理由 です。

 

このようなことを考えると、上でお話した「乳幼児期のアレルゲンの経皮感作を防ぐ」というポイントが、お子さんのアトピーを慢性化させないためには重要となります。

つまり、

成長とともにアトピーは落ち着いていくのだから、乳幼児期は余計なアレルゲン経皮感作を防ぐことが大切

ということです。

 

最後に、ステロイド外用薬の乳幼児への使用のリスクと、乳幼児期のアトピー治療の重要性について、書籍から引用しておきます↓

いずれにしろ、ヒトでのステロイド外用薬による副作用としては、皮膚に認められる周知の多彩な変化以外には、きわめて起こりにくいものと考えられる。

(中略)

そして、もし乳幼児期までに望ましい対応がとられれば、アトピー性皮膚炎が頑固な成人型に移行することは減る

(中略)

現在では、不十分な治療を行っていると、アトピー性皮膚炎の症状が、頑固なアトピー性皮膚炎に移行しがちなので、早期に適切な対応をすることが勧められている。

引用元:『アトピー性皮膚炎治療のためのステロイド外用薬パーフェクトブック』p118,119
塩原哲夫(編) 南山堂


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4. まとめ

赤ちゃんや小さな子供は、アトピーの治療方針を自分で選ぶことは出来ません。

親御さんの考えや判断が、お子さんのアトピーの状態にもろに影響します。

脱ステロイドによる危険で極端な治療法ではなく、まともな皮膚科医のもと、標準的なアトピー治療をしっかりと実践することが、お子さんのためにはベストだと私は考えます。

私の場合は「子供が大人になったときに恨まれないような選択をする」という姿勢で、アトピー治療に取り組んでいます(ここまでプレッシャーに感じることは無いかもしれませんが)

息子のアトピーに対しては、マイルドクラスのステロイド外用薬を適切に使いながらスキンケアを徹底して、現時点で皮膚炎の無い状態をほぼキープ出来ています。

食生活・紫外線対策・睡眠の確保などに気をつけて、定期的に皮膚科医に皮膚を診てもらいながら、成長とともに皮膚炎が出にくくなることを期待して待っている段階です。

 

さて、ここでお話したコトを理解しても、赤ちゃんにステロイド外用薬を塗ることに対して抵抗感や恐怖心を感じてしまう場合もあると思います。

この抵抗感は、ある意味本能的なものなのかもしれません。「自分の子どもを危険から遠ざけて守りたい!」という本能です。

でも、適切に使う限りステロイド外用薬は「危険」なものではなく、むしろ使わないことの方が「危険」であるということに理性で納得すれば、このような本能的な恐怖心はかなり解消されると思います。

そのためには、ステロイド外用薬の副作用やステロイド外用薬の正しい使い方について、少し情報収集してみることをオススメします。

その情報収集の際には、当サイトのステロイド外用薬に関するページ も是非ご活用ください。


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 Category: 子どものアトピー改善