経皮感作とは何?子供も大人もアトピー体質ならきちんと対策しよう

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子どもの肌のスキンケア

アトピー改善や防止のための情報を集めていると、「経皮感作(けいひかんさ)」という言葉に出会うことがあると思います。

日常生活ではまず使わないワードですし、

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「経皮」はまだしも「感作」って何?

のように、イマイチ分かりにくい!という方も多いのではないでしょうか。

経皮感作けいひかんさは、簡単に言うと「皮膚からアレルゲンが侵入して、アレルギー発症のリスクが高まること」です。

経皮感作の防止は、アトピー予防や改善のためには実はかなり重要ですので、基本的なコトは理解してきちんと対策する必要があります。

そこでこの記事では、

  • 経皮感作とは何なのか?
  • 経皮感作とアトピーはどういう関係にあるのか?
  • 経皮感作が起こると、どうしてマズいのか?
  • 経皮感作を防ぐにはどのような対策が有効か?

といった点についてまとめてみたいと思います。

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経皮感作とは皮膚からアレルゲンが入り体内で抗体が出来ること

経皮けいひ感作かんさを2つに分解しますと、「経皮」「感作」となります。

経皮とは読んで字のごとく、「皮膚経由で」という意味です。

問題は「感作かんさ」の方ですよね。あまり馴染みのある言葉ではありません。

感作とは「アレルギーが発症する可能性アリ」の状態のこと

ある特定のアレルゲンに感作しても、必ずしもアレルギーを発症するわけではありません。

感作は、言わばアレルギー発症の「準備段階」です。

・・・とか言われても、「は?」という感じですよね。

まず、アレルギー発症の一連の流れを簡単にまとめると、次のようになります。

体内に卵やスギ花粉などの異物(アレルゲン:抗原)が入る

アレルギー体質の場合、これを排除するために抗体(IgE抗体)が作られる

IgE抗体はマスト細胞(肥満細胞)に結合する(=感作

再びアレルゲンが体内に侵入すると、マスト細胞上のIgE抗体に付着し、マスト細胞を刺激する

マスト細胞がヒスタミンを放出して、アレルギー症状(炎症)が起こる

↑で太字にした段階が、感作と呼ばれる状態です。

つまり、体内で作られたIgE抗体がマスト細胞(肥満細胞)のIgE受容体に結合した状態です。

上のフローチャートでは、「再びアレルゲンが入るとアレルギー症状が起こる」となっていますが、実は、IgE抗体が出来て感作の状態になってもアレルギー症状が出ない人もいます。

実際のアレルギー反応はもっと複雑なプロセスでして、アレルギー反応を制御する「ブロック」がかかることがあるからです。

よく、「乳幼児のアレルギー血液検査で陽性だったけど、実際には何の食物アレルギーも無い」という話を聞きますが、これも同じ理由です。

血液中にIgE抗体が多い(=感作)からといって、実際にアレルギー症状が出るわけではないということです。

この点について、お医者さんの書籍・サイトから一部引用しておきます。

Q2「感作された状態から、かならずアレルギーの症状が出るのでしょうか?」

A2必ず出るわけではありません。アレルギーの反応はたいへん複雑なプロセスを経て症状にいたるので、どこかの段階でブロックがかかり、特異的抗体を持ってはいるが、無症状ということも多いのです。

経皮感作Q&A(西鎌倉こどもクリニック):鎌倉 病院情報

血液検査の結果は目安にすぎず、検査結果だけで、たとえば「あなたは卵アレルギーです」と答えを出すことはできません

実際、1歳前後のお子さんを調べると、3~4割の子が卵のIgE抗体をもっています。

しかし、みんなが発症するというわけではなく、発症するのは数%にとどまります。

『正しく知ろう 子どものアトピー性皮膚炎』(赤澤晃 著)

経皮感作が起こる仕組み

カルテを見る男性医師

話を経皮感作に戻します。経皮感作とは、「皮膚経由で起こる感作」のことでした。

つまり、経皮感作皮膚からアレルゲンが侵入して、体内でIgE抗体が出来ることということです。

ちょっと前までは、卵や牛乳などの食物アレルギーは、卵や牛乳を実際に口にすることで発症すると考えられていました。

しかし現在では、「皮膚から食物(食べカス)が入り込み、それが原因で食物アレルギーを発症する」という仕組みの影響の方が大きい、という考え方が主流になっています。

というのも、口から入ってきたアレルゲンと皮膚から入ってきたアレルゲンでは、次のような違いがあるからです。

  • 口から摂取したアレルゲン
    → 胃腸で消化分解されるので、抗原性が低くなる。
    → また、腸では「免疫寛容」の仕組みが強く働く。
  • 皮膚から侵入したアレルゲン
    → アレルゲンは分解されず、大きな分子のまま。
    → 皮膚では腸内のような「免疫寛容」は働かない。

急に出てきた「免疫寛容めんえきかんよう」とは、なんでしょうか。

これは、簡単に言えばウイルスなどの「本当に危険な異物」と、食物などの「危険ではない異物」を見分ける体の仕組みのことです。

腸には毎日たくさんの食べ物が入ってきますが、これに対してイチイチ免疫システムが働いてしまっては困ります。

腸内ではこのような免疫寛容が働いている一方、皮膚ではこの機能はほぼ無いので、経皮感作による食物アレルギーの方が起こりやすいと最近では考えられているわけです。

さて、ここまでのお話を聞いても、

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皮膚から食べカスが入る?いや、入らないでしょ。

と思うのが、普通の感覚だと思います。

もちろん、トラブルの無い健康な皮膚では、食べカスなどの異物は侵入しません。

なぜなら、皮膚には異物が入らないようにするためのバリア機能が備わっているからです。

ただ、皮膚に湿疹・炎症があったり乾燥していたりすると、皮膚のバリア機能が低下し、異物が簡単に侵入してしまいます。

「皮膚がカサカサと乾燥し、炎症や湿疹・掻き傷がある」というのは、まさにアトピー肌の特徴ですよね。

つまり、アトピー肌では皮膚から食べカスなどのアレルゲンが侵入しやすい、ということです。

また、乳児性湿疹があったり乾燥しがちな赤ちゃんの皮膚も、アトピー肌と同様にアレルゲンが侵入しやすい状態と言われています。

経皮感作の実際の事例2つ

ここまでのお話を踏まえて、実際に起こった経皮感作の事例を2つご紹介します。

事例を知れば、もうちょっと具体的にイメージが出来るかと思います。

ピーナッツアレルギーの原因は保湿クリームだった!?

ピーナッツ

幼児期のピーナッツアレルギーは酷い場合には命に関わることもあるのですが、イギリスではピーナッツアレルギーの子どもが多く、研究が盛んなのだそうです。

その研究者の一人であるギデオン・ラック(Gideon Lack)教授は、ピーナッツアレルギーを発症した子どもを調査するなかで、意外な事実を発見しました。

それは、「ピーナッツアレルギーを発症した子どもの多くが、ピーナッツオイルを含むベビーオイルを塗っていた」ということ。

具体的には、ピーナッツアレルギーを発症した49人の過去を調べた結果、約9割の人がピーナッツオイルを塗っていたそうです。

これはつまり、ピーナッツを食べたからピーナッツアレルギーになったのではなく、ピーナッツオイルが皮膚に触れることで経皮感作が起こった可能性が高い、ということです。

『Q&Aでわかる アレルギーのしくみ ~アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、花粉症、気管支ぜんそくの最新科学~』p86~90(斎藤博久=著 技術評論社)

美容石鹸で毎日洗顔したら、小麦アレルギーに

自分で洗顔する女の子

もう一つの事例は、海外ではなく日本のお話です。

数年前にニュースで話題になりましたが、(旧)茶のしずく石鹸の使用者に小麦アレルギー発症が相次ぐという「事件」がありました。

なぜ石鹸で小麦アレルギーになってしまったのかというと、(旧)茶のしずく石鹸に含まれていた加水分解コムギ(小麦加水分解物)のせいです。

加水分解コムギは、小麦のタンパク質を塩酸や酵素で処理(加水分解)したもので、その保湿性の高さから化粧水や石鹸に添加されることが多いそうです。

コレを含む石鹸で毎日洗顔した結果、体内に加水分解コムギ(アレルゲン)が侵入し、小麦アレルギー発症につながってしまったわけです。

(旧)茶のしずく石鹸は洗顔用石鹸だったため、その泡は顔全体に行き渡ります。

顔には鼻や目・口などの粘膜がありますが、皮膚と違いバリア機能の無い粘膜では、アレルゲンがより吸収しやすくなってしまいます。

また、加水分解コムギが、石鹸という界面活性剤に含まれていたことも、経皮感作が起こりやすくなった一因と指摘されています。

石鹸や洗剤などの界面活性剤は皮脂を取り除く作用があるため、洗顔時には一時的に皮膚バリア機能が低下します。

そのタイミングで加水分解小コムギというアレルゲンに触れれば、健康な皮膚からも吸収されてしまうことも十分に考えられます。

大物女優をCMに起用するなど、(旧)茶のしずく石鹸はかなりの人気商品だったため、その使用者数は概算で600万人近くに及ぶそうです。

そのうち、少なくとも約2,000人が小麦アレルギーを発症してしまったことが分かっています。

この一件は、日本で経皮感作がよく知られるようになったキッカケと言えるかと思います。

(旧)茶のしずく石鹸と加水分解コムギについての補足

まず、現行モデルの茶のしずく石鹸には、小麦アレルギーの発症につながる成分は入っていません。現行モデルと区別するため、ここでは「(旧)茶のしずく石鹸」という表現にしています。

つぎに、加水分解コムギを含む全ての化粧品・石鹸が、小麦アレルギーの発症につながるわけではありません。

(旧)茶のしずく石鹸に含まれていた加水分解コムギは、片山化学工業研究所という会社が製造していた「グルパール19S」という製品でして、この製品を成分に含む(旧)茶のしずく石鹸以外の商品でも、同様の小麦アレルギー発症が起こっていることが分かっています。

逆に、グルパール19S以外の加水分解コムギを含む化粧品・石鹸等では、小麦アレルギー発症の報告(複数人以上)は無いそうです(完全に安全とは言い切れません)。

グルパール19Sでのみ小麦アレルギー発症が相次いだ理由としては、他の加水分解コムギの製品よりも分子量の大きいタンパク質が含まれていたこと等が指摘されています。

(当セクションの内容は、『アレルギーの病気についてQ&A (旧)茶のしずく®|一般の皆様へ|一般社団法人日本アレルギー学会』を参照して作成しています。)

経皮感作が起こると、どうして問題なのか?

次に、経皮感作で食物アレルギーを発症すると、具体的にどのような問題が起こるのか?考えてみたいと思います。

子どもの場合、アレルギーマーチにつながる

アレルギーマーチ

「アレルギーマーチ」とは、アトピー性皮膚炎 → 気管支ぜんそく → 花粉症のように、成長とともに次々と異なるアレルギー症状が現れることを言います。

アレルギー症状が行進(マーチ:march)しているように連続するので、こう呼ばれています。

たとえば、皮膚のバリア機能が弱いアトピーの子どもが、経皮感作で新たにアレルギーを発症したとします。

この子の場合、次にアレルゲン(食べ物・スギ花粉など)が侵入する場所によって、次のような症状が出てきます。

  • 口から消化管へ侵入
    → 食物アレルギー
  • のどの気道から侵入
    → 気管支ぜんそく
  • 鼻の粘膜から侵入
    → 花粉症
  • 皮膚から侵入
    → アトピー性皮膚炎(の悪化)

アレルギーマーチのよくあるパターンは、こんな感じです。↓

乳幼児期に湿疹がある状態で過ごす
(アトピー性皮膚炎と診断されるケースも)

バリア機能の弱い皮膚からアレルゲンが侵入し、食物アレルギーを発症する

3歳くらいになってアトピー・食物アレルギーの症状が軽くなると、今度はぜんそくの症状が現れる

10歳くらいで気管支ぜんそくの症状がおさまると、花粉症の症状が出てくる

私の場合、生まれたころから皮膚に湿疹があって常に痒がっていたそうです。

その後、アトピー性皮膚炎と診断されますが、薬物治療やスキンケアはあまり徹底されなかったみたいです。

そして、牛乳と卵に食物アレルギーを発症。たぶんコレは経皮感作だったのだと思います。

小学校に上がるころには食物アレルギーはなくなりましたが、代わりに気管支ぜんそくの症状が出てきて、よく病院に吸入に行っていました。

中学校に上がるころにはぜんそくの症状はほぼ無くなりましたが、アトピー性皮膚炎の症状が悪化。

花粉症の発症が無いのがせめてもの救いですが、私もアレルギーマーチのように症状が移り変わっていたように思います。

上のフローチャートを見ると分かりますが、アレルギーマーチのスタートは、皮膚からアレルゲンが侵入することです。

つまり、乳幼児期の経皮感作を防ぐことが、お子さんのアレルギーを未然に防ぐための大切なポイントとなります(詳しくは後述します)。

大人のアトピーの場合、症状の悪化・慢性化につながる

アレルギーマーチは子どもに限った話ではありませんが、アトピーの大人の場合、経皮感作で新たなアレルギーを発症して困るのは、アトピーが悪化することだと思います。

経皮感作で新たに食物アレルギーを発症すれば、これまでは食べても平気だった食品でもアレルギー症状(皮膚の炎症)が出てしまいます。

また、経皮感作は食べ物に限らず、花粉やダニ・ホコリなどの異物でも起こります。

スギ花粉アレルギーを経皮感作で発症すれば、再び皮膚に花粉が侵入すれば、皮膚炎が起こってしまいます。

春先の時期にアトピーが悪化する人が多いのは、花粉アレルギーによる症状が鼻だけではなく皮膚にも出ているからです。

私のかかりつけの皮膚科の先生は、春に診察に行くとかならず

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マスクしなねー。マスク。マスクしてねー。お大事に!

という感じで、しつこいくらいにマスク着用をすすめてきます。

これは、花粉アレルギーが花粉症の症状としては出なくても、皮膚炎として出てくる危険性があるからだと思います。

このように大人のアトピーの場合、経皮感作で新たなアレルギーが起こると、アトピー症状の悪化につながってしまいます。

今でもアトピーで苦労しているのに、新入りのアレルギーが登場するのは勘弁して欲しいところですよね。

こういう意味で、子どもに限らず大人も、経皮感作によるアレルギー発症には気をつけて、十分な対策を打つことが必要と言われているわけです。

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経皮感作を防ぐための具体的な対策

つぎに、厄介な経皮感作を防ぐための具体的な対策について見ていきましょう。

経皮感作を避けるためには、皮膚からアレルゲンが侵入しないようにすればOKです(当たり前ですが)。

そのためには、次の2つのポイントを抑えることが大切です。

  1. 保湿剤・石けんなどの食物由来の原料に気を付ける
  2. 日常的に保湿を徹底してバリア機能を補う

保湿剤や石鹸・シャンプーなどの原材料に気を付ける

固形石けん

上でご紹介したピーナッツアレルギーの話では、経皮感作の原因は保湿剤に含まれるピーナッツオイルでした。

より正確には、ピーナッツオイルに不純物として含まれていた微量のタンパク質がその原因です。

市販されている保湿クリーム・化粧水・乳液・石けん・シャンプー・ボディーソープの中には、食物由来の成分が含まれているものが多いですよね。

このような成分は、保湿効果などのプラスαの機能を狙って添加され、私たち消費者の立場からすると、けっこう魅力的に映ってしまいます。

また、自然派・植物由来の商品に、こういう成分が多い気もします。

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◯◯エキスが入ってるのか。良さそう!

みたいな感じです。

でも、経皮感作のリスクを考えますと、食物由来成分には十分に気を付けたほうが安全です。

その食物由来成分のなかに、不純物としてタンパク質やタンパク質分解物(ペプチド)が残っている可能性が否定できないからです。

私の場合、保湿剤や石けんなど、肌に直接つけるアイテムを選ぶ際には、原材料表記を必ず確認して、食べ物由来の成分が含まれているかどうかをチェックしています。

日常的に食べる可能性のある食物に関連した成分が書かれているときは、とりあえずその商品はスルー。別の商品を探します。

また、オイル系の商品も要注意だと個人的には思います。

たまにアトピー対策として、「オリーブオイルやココナッツオイルを肌に塗って保湿(やマッサージ?)する」というモノを目にしますが、経皮感作のリスクを考えると止めたほうがよいです。

最近ではベビーマッサージが人気ですが、マッサージの際に使うオイルにも注意が必要です。

「ごま油を使ってマッサージした赤ちゃんが胡麻アレルギーになった」という話もありますが、これは経皮感作が起こった可能性が高いです。

オイル系の商品を使うなら、成分の油は食用油ではないもの(ホホバオイルなど)を使ったほうが安全です。

このように、保湿剤などの皮膚に直接つけるアイテムを選ぶときには、食べ物由来の成分が入っていないか?をチェックすることが経皮感作を防ぐためには重要になります。

日常的に保湿を徹底する

保湿クリーム

キメの細かい健康な皮膚では、経皮感作は起こりにくくなっています。

これは、皮膚のバリア機能が異物の侵入を防いでくれているからでした。

一方のアトピー肌は、乾燥や炎症によって皮膚のバリア機能がかなり失われているため、経皮感作が起こりやすい状態にあります。

ですから、私の乳幼児期のようにスキンケアをほとんどしない「ノーガード戦法」をとると、ほぼ確実に何かしらの経皮感作が起こり、食物アレルギーを発症します。

逆に言えば、足りないバリア機能を保湿剤で補ってあげれば、経皮感作は未然に防げるということです。

保湿の際には、水分 → 油分の順番で保湿剤を塗っていきます。化粧水だけでは不十分です。

具体的には、入浴や洗顔をしたらすぐに

ローションタイプの保湿剤を全身にザッと塗る

その上から、油系の保湿剤(ワセリン系・オイル系)をしっかり塗る

という流れで保湿します。

バリア機能を補うためには、水分だけではなく油分も塗ってあげる必要があります。

ただ、ワセリン系の保湿剤は伸びが悪いので、塗るのに少し時間がかかってしまいます。

アトピー肌はとんでもないスピードで乾燥していくので、保湿は時間との勝負となります。なので、最初から油系の保湿剤を塗るのはおすすめできません。

油分の前に水分も補給してあげたいですし。

ということで、まずは伸びの良いローションを全身にササッと塗ります。これで、とりあえず急速な皮膚の乾燥にストップがかかります。

また、ローションは乳化によって水分と油分が混ざりあった状態なので、上から塗るワセリンなどの油系の保湿剤の伸びが良くなる、というメリットもあります。

逆に、水分だけの化粧水を塗ったあとに油系の保湿剤を塗ろうとしても、うまく伸びてくれません。水と油が混ざり合わないからです。

この意味でも、ローションを最初に塗るのがオススメです。

ローションを塗ったら、そのあとはゆっくりと丁寧に油系の保湿剤を塗って、皮膚にバリアを張っていきます。

こんな感じで保湿をすれば、足りなかった皮膚のバリア機能が補われ、経皮感作のリスクが小さくなります。

また、保湿の回数を増やすのも大切なポイントです。

保湿剤は、どうしても段々と取れてしまいますから、日中は気付いたら保湿してあげるようにすれば、より理想的です。

赤ちゃんの経皮感作は特に注意が必要

指を握る赤ちゃん

ここまでのお話でも少し触れましたが、経皮感作の対策は乳幼児期が重要になります。

赤ちゃんの皮膚は厚みも薄く乾燥しやすいため、バリア機能が弱いからです。

そのため、アトピー体質が疑われる場合はもちろん、アトピーの方が家族にいない場合であっても、経皮感作の対策はしっかりと行うことが大切となります。

赤ちゃんの経皮感作を防ぐためには、

  1. 全身の保湿を徹底すること
    ← 湿疹や乾燥の症状が無い・軽い場合であっても行う
  2. 離乳食の時期は、口元のスキンケアを徹底する
  3. 食事の際の食べカスや床に落ちた食べカスなどに気を付ける

といった対策をすればOKです。

生後6ヶ月までの保湿の徹底が大切

アトピー性皮膚炎の家族を持つ新生児(遺伝的にアトピー体質である可能性が高い)を対象に、ある臨床研究が行われました。

その試験では、新生児の赤ちゃん118名を

  1. 1日1回全身に保湿剤を塗ったグループ(59人)
  2. 乾燥した箇所にだけワセリンを塗っただけのグループ(59人)

の2つのグループに分け、アトピー性皮膚炎の発症数(割合)がどうなるのか?が調べられました。

『Q&Aでわかる アレルギーのしくみ ~アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、花粉症、気管支ぜんそくの最新科学~』p76~79(斎藤博久=著 技術評論社)

結果は、1の新生児グループのアトピー発症者が19人だったのに対し、2のアトピー発症者は28人となりました。

つまり、「全身を保湿した新生児の方が、アトピー発症率が3割程度低くなった」ということです。

これは、全身に保湿剤を塗ることで経皮感作が起こりにくくなったことが原因だと考えられています。

この実験結果から言えることは、赤ちゃんの皮膚は全体的にバリア機能が弱いので、全身を保湿してあげないとダメということです。

以上のように、皮膚が乾燥している場合はもちろん、見た目上は問題なくても、赤ちゃんの肌は全身を保湿してあげることが大切となります。

また、同じ理由で、赤ちゃんの皮膚炎や湿疹はキチンとお薬で治してあげないとマズいです。

炎症がある部分はバリア機能が失われているため、アレルゲンがより侵入しやすいからです。

「赤ちゃんにステロイド外用薬を塗るのは嫌だ」と思われる方は多いですが、経皮感作によるアレルギー発症のリスクとお薬のリスクを比べたら、経皮感作のほうが大きいと私は考えます。

なので、私の2人目の子供(現在7ヶ月)には、湿疹部分はステロイドを塗ってすぐに治し、朝晩の全身保湿を徹底しています。

離乳食の時期は口元のスキンケアを徹底しよう

食事中の赤ちゃん

生後半年を過ぎた頃から離乳食が始まりますが、離乳食をあげるときには、経皮感作の注意が特に必要です。

食べ物が口の周りの皮膚に直接付いて、経皮感作が起こる危険が大きいからです。

離乳食をきっかけとする経皮感作を防ぐには、

  • 口の周りの湿疹をきちんと治す
  • 食べさせる前に口の周りにワセリンを塗る

という対策が効果的です。

まず、どんな赤ちゃんでもそうだと思うのですが、口の周りやほっぺたはヨダレがつくので皮膚に炎症が起こりやすいですよね(いわゆる「よだれかぶれ」)。

このように口の周りに炎症がある状態だと、食べカスが皮膚から侵入しやすくなってしまいます。

ですので、口の周りの湿疹はきちんと皮膚科に行って治すようにします。

おそらくほとんどの場合、ステロイド外用薬が処方されますが、怖がらずにきちんと使ってしっかりと治すことが大切です。
(非ステロイドの外用薬ですと、接触性皮膚炎が起こって逆に症状が悪化することも多いそうです。)

また、離乳食を食べさせる前に、口の周りの皮膚にワセリンを塗ってバリアを張ります。

こうすることで、食べカスが皮膚から侵入することをより確実に防ぐことができます。

ちなみに、ワセリンが口の中に入っても、健康には影響ありません。

食事の際の食べこぼしや床のゴミに気を付ける

ここまでは、「赤ちゃんの皮膚バリア機能を補う」という対策でしたが、生活環境からアレルゲンを減らす対策もあわせて行うとさらに効果的です。

生後半年も経つと赤ちゃんは部屋の中を動き回りますので、そこに食べカスなどのアレルゲンが多いか・少ないかは、経皮感作のリスクに直結するはずです。

ですので、フローリングやカーペットなどの床の掃除はキチンと行うように気をつけます(ストレスにならない範囲で)。

上の子がいる場合には、お菓子などの食べカスは特に要注意ですね。

また、大人の食事の際に、赤ちゃんを抱っこしながら食べることも多いと思います。

赤ちゃんの経皮感作を防ぐ意味では、これは極力やめたほうが良いと個人的には思います。

食べカスが下にこぼれていないと思っていても、実際には微量のカスが確実に下方向に舞っているはずですので。

赤ちゃんが泣いてどうしようもないときは、奥さんや旦那さんと交代で抱っこしながら食べるとか、一人のときには「赤ちゃんをそのまま泣かしておく」というのもアリだと思います。

可哀想に思えますが、長い目でみれば経皮感作を防ぐことのほうがお子さんのためになりますので。

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まとめ

以上、経皮感作とは何か?その仕組みから、経皮感作を防ぐための対策についてまとめてみました。

子どもの時期と青春時代にアトピーで悩んだ私としては、経皮感作によるお子さんのアレルギー発症・アトピー悪化はぜひ防いで頂きたいです。

この記事がそのご参考になれば幸いです。

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