ステロイド塗り薬の副作用の心配が無い使用期間はどれくらい?

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3. ステロイド外用薬の副作用を防ぐために必要なこと

安全期間の目安を過ぎてステロイド外用薬を使う場合にも、局所的副作用は出来る限り起こさないようにしたいものです。

ステロイドの副作用を防ぐための注意点のうち、重要なポイントは以下の3つです。

  • 十分な量のステロイド外用薬をきちんと塗る。
  • 定期的に皮膚科医に皮膚の状態を診てもらう。
  • 出来る限り早く、自分のアトピー悪化原因を特定・除去する。

では、この3つの注意点について、順を追って簡潔に見ていきます。

3-1. ほとんどの人が、十分な量のステロイド外用薬を塗っていない

アトピー患者の大半の方が、十分な量のステロイド外用薬を塗っていないと言われています。

以前の私もそうでしたが、

ステロイド外用薬=怖いもの、出来る限り使いたくないもの

という認識が、十分な量のステロイドを塗ることを避けさせるのだと思います。

他のお薬と同様に、「ステロイド外用薬は出来る限り使いたくない」という認識は、ある意味正しいです。

しかし、ステロイドを恐れるあまり、少しずつステロイドを塗っていると、結果的にステロイド外用薬の使用量は、トータルとして増えてしまいます。

というのも、

  • 塗ったステロイドの量が、皮膚炎を沈めるのに不十分な量である。
  • 皮膚炎がなかなか収まらない。
  • ステロイド外用薬の使用期間が長引く。
  • 医師が、「この強さのステロイド外用薬では弱い」と判断して、より強いステロイドにランクアップしてしまうことがある。
  • トータルとしてステロイド外用薬の使用量が増えてしまう。

という流れで、結果としてステロイド外用薬をより多く使うハメになってしまうからです。

特に、皮膚科医は、処方したステロイド外用薬が「十分な量」使われたことを前提にしていますから、患者の皮膚炎が収まらない状態を見れば、ステロイド外用薬のランクアップを選択肢として考えてしまうことも考えられます。

このように、ステロイドを十分な量塗ることは、結果的にトータルの使用量を抑えることに繋がります。

 

では、十分な量のステロイドとは、どれくらいの量なのでしょうか。

日本皮膚科学会の『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』では、ステロイド外用薬の適量(必要十分な量)について、以下のように書かれています。

第2指の先端から第1関節部まで、口径5 mm のチューブから押し出された量(約0.5 g)が、英国成人の手掌で2枚分すなわち成人の体表面積のおよそ2%に対する適量であることが示されている(finger tip unit)。

引用元:『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』
日本皮膚科学会

つまり、

人差し指の第一関節までチューブから押し出された量を、大人の手のひら2枚分の面積の皮膚に塗る

というモノが、ステロイドを塗る十分な量ということです。

大人の手のひら2枚分というのは、だいたい顔全体よりも少し大きいくらいの面積です。

 

やってみると分かりますが、

結構多いな。。この量を塗ると、ベタベタするんですけど。

というふうな感想を持つ方が多いと思います。

しかし実際には、このベタベタするくらいの量が、皮膚炎をきちんと治すために必要な量と言われているのです。

  • 十分な量のステロイド外用薬を使って、出来る限り早く皮膚炎を沈める。
  • ステロイド外用薬のランクダウンや間欠塗布に繋げていく。

という流れが、ステロイド外用薬の副作用のリスクを低めることに繋がります。

今一度、ステロイド外用薬を塗る量をチェックしてみることをオススメします。


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3-2. 定期的に皮膚科医に皮膚の状態を診てもらう。

次に重要なことは、

定期的に皮膚科医に皮膚の状態を診察してもらう

ということです。

なぜこれが重要なのかといえば、指示通りにステロイド外用薬をきちんと使った上で、

  • 皮膚炎はどの程度収まっているのか?
  • 副作用の兆候は出ていないか?
  • ステロイド外用薬の強度ランクや塗る頻度はどうするか?

といったポイントを、医師に判断してもらうためです。

 

皮膚炎が順調に収まっているのであれば、ステロイド外用薬のランクダウンや間欠塗布への移行を考えたり、場合によっては保湿のみに切り替えていく、といった判断もあり得ます。ステロイドの使用量を減らしていくということです。

逆に、副作用の兆候が皮膚に出ている場合には、その副作用に対する適切な処置を行う必要が出てきます。

 

このような判断は、経験を積んだ皮膚科医にしか出来ませんから、

時間がもったいないから、薬だけ貰いに行こう

とか

病院に行く時間が無いから、薬局で買った市販のステロイド外用薬を使い続ければいいや

という風に、医師の診察を長期間受けないことは、副作用のリスクを高めたり、副作用の発現の見逃しに繋がります。

面倒でも、皮膚の状態が良くても、皮膚科には定期的に通って、診察を受けることが大切です。

次回診察の日程を指示しない皮膚科も多いですが、出来る限り次回の診察の予約を取って、半ば強制的に自分の足を皮膚科に向かわせる、という対策も有効だと思います。

3-3. 出来る限り早く、自分のアトピー悪化原因を特定・除去する

ほとんどの場合、ステロイド外用薬で皮膚炎を沈めても、塗るのをやめると再び皮膚炎が出てきてしまいます。

これは、ご自分に特有のアトピー悪化原因が取り除かれていないからです。

アトピー体質(アトピー素因)を持つ方が、アトピー悪化原因に触れれば、皮膚炎はほぼ確実に出てしまいます。

皮膚炎が出ないようにするためには、ご自分のアトピーを悪化させる(発症させる)原因を取り除いていくことが不可欠です。

 

具体的には、

  • 自分のアトピー悪化原因は何なのか?という意識を持ちながら日々生活する。
  • 疑わしい物は取り除いて、その前後の皮膚の様子を比較してみる。
  • 皮膚炎や痒みが改善されたのであれば、その原因は今後も取り除く。

というような手順で、1つ1つ、自分のアトピー悪化原因を特定して除去していきます。

この「アトピー悪化原因の特定・除去」をしない限り、皮膚炎は出続けてしまいます。

しかし逆に言えば、これが早く出来れば、より早くに皮膚炎が出なくなりますから、ステロイド外用薬を使う量も減ります。使う量や期間が減れば、副作用のリスクも小さくなります。

なんとも面倒な話ではありますが、アトピーを改善するためには、このような地道な作業が必要になります。


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4. ステロイド外用薬の副作用が出たらどうすればいい?

最後に、ステロイド外用薬の副作用が出た場合の対処法についてお話します。

ステロイド外用薬を一定期間使っていて、例えば、

  • 顔が赤くなってきた(ステロイド紅潮)
  • 塗った部分がかぶれた感じがする(接触性皮膚炎)
  • ボツボツとした膿のようなものが出てきた(細菌感染)

といった症状が出た場合、副作用の兆候の可能性があります。

このような場合には、すぐに皮膚科に行って、副作用かどうかの判別をしてもらうようにしましょう。

 

ステロイド外用薬を使い続けるのかどうか、タクロリムス軟膏に切り替えるのか、より弱いステロイド外用薬に切り替えるのか、他の薬を使うのか、などなど、副作用に応じた対処法を医師が考えてくれます。

「次の予約は2週間後だから・・・」と放置するのではなく、ステロイドの副作用と思わしき症状が皮膚に出た場合には、出来るだけ早く皮膚科に行くことが肝心です。

特に、眼のまぶたやその周辺にステロイド外用薬を使っていて、眼に異常が現れた場合には、緑内障の兆候である危険性も考えられますから、要注意です。

このような副作用の兆候に自分で気づくためには、ステロイド外用薬の副作用についてきちんと知っておくことが必要です。

↓の記事をご参考にしてください。

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5. まとめ

ステロイド外用薬を安心して使える「安全期間」の目安を参考にすれば、

  • 顔の皮膚炎は2週間以内に完全に良くする。その後は保湿だけで皮膚の状態を良好にキープする。
  • それ以外の部位は、1ヶ月以内に皮膚炎を完全に抑える。その後は保湿だけで健康な皮膚をキープする。

というような治療が、ベストだと言えます。副作用が現れるリスクが最も低いからです。

このような短期間でアトピー性皮膚炎をコントロールするためには、自分のアトピー悪化原因をいち早く突き止めて、取り除くことが必須です。

例えば、「これまでなんとも無かったのに、アトピー性皮膚炎が出てしまった」という場合には、

十分な量のステロイド外用薬をきちんと使って皮膚炎を沈めつつ、自分のアトピー悪化原因を1つ1つシラミ潰しにしていく

という手順が1ヶ月以内にできれば、ステロイド外用薬の副作用の心配をすることなく、アトピーをコントロール下に置くことが出来ます。

 

しかし、このような「理想的な」治療が出来ることは、おそらく稀だと思います。

アトピーの悪化原因は複雑かつ多様で、その特定・除去には時間がかかってしまうからです。

ですから、安全期間を超えてステロイド外用薬を使い続けることが多くなるのですが、

こう考えると、

ステロイド外用薬の副作用のことは、常に頭に入れておく

という姿勢が、アトピー治療には必要不可欠であることが分かります。

 

とは言え、

ステロイドの副作用が怖いから、一切使わない!

などという極端な対応をするのはNGです。

そうではなく、

  • ステロイドの副作用に注意しながら、必要な量をきちんと塗って皮膚炎を抑える
  • 出来る限り早く、ステロイド外用薬を使わなくてもよい状態になれることを治療の目標にする

という、賢いステロイド外用薬の使い方が求められているわけです。

 

とてもありふれた結論になってしまいましたが、実際のところ、このようなバランスの取れた考え方が、アトピー治療には最も効果的なのだと私は考えます。

 

脱ステロイドでアトピーを完治させる!

とか

ステロイドを塗ればとりあえず皮膚炎は収まるから、ずっと使えばいいや。

などという、極端な考えに至るのは簡単です。考えなくてもいいからです。

しかし、このような治療法(?)が成功することは、残念ながらほぼあり得ません。前者には理論的裏付けがないですし、後者は理論的に間違っているからです。

 

逆に、「賢くステロイド外用薬を使う」というようなバランスの取れた考え方を納得して受け入れるためには、ある程度の情報収集や勉強が必要になりますし、正直面倒くさいです。

でも、遠回りに見えて、最も確実にアトピーを治す(コントロールする)ことに繋がると考えます。

当サイトが、その情報収集の一助になれば幸いです。

 

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