【アトピー治療】ステロイドはだんだん効かなくなるって本当?

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sea13

アトピー性皮膚炎の治療法やステロイド外用薬の副作用について情報収集していると、

ステロイドを塗り続けると、だんだん効かなくなる!

という情報や体験談を目にします。

一方、皮膚科医の書いたアトピー治療の本では、

ステロイド外用薬が効かなくなることはありません。

というように書かれていることが多いです。

ステロイドを塗る側の立場としては、

ステロイドを塗り続けるとだんだんと効かなくなるのか?そんなことは起こらないのか?

どっちなのか、はっきりとして欲しいところです。

そこでこの記事では、

  • ステロイド外用薬は効かなくなるのか?
  • (そうだとしたら)より安全にステロイドを使うためにはどうしたらいいのか?

という点についてお話したいと思います。


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1. 「ステロイド外用薬は効かなくなる」は本当か?

冒頭でお話しましたように、「ステロイド外用薬は効かなくなるのか?」というテーマについて、

肯定派否定派の2つに分かれています。

私の印象では、アトピーの標準治療を実践している皮膚科医の医者には否定派が多く、脱ステロイドによるアトピー治療を推奨している側に肯定派が多いように感じます。

このような印象を元に「どちらが正しいか?」を考えると、否定派(効かなくなることはない)の方が正しいパターンかな?と思ってしまいます。

でも、話はそんなに単純ではありませんでした。

順番に見ていきましょう。

1-1. 「効かなくなることはない」派の主張

まず、「ステロイド外用薬を塗り続けても効かなくなることは無い!」と言っている医師は、結構たくさんいます。

例えば、九州大学医学部皮膚科学教室のウェブサイトでは、アトピー性皮膚炎の標準治療の内容が分かりやすく解説されていますが、その中の一文に

どんなに長く使ってもステロイド外用薬が効かなくなることはありません。

引用元:『九州大学医学部皮膚科学教室 アトピー性皮膚炎についていっしょに考えましょう』

 

という記載があります。

「ステロイド外用薬をどんなに長期連用しても、ステロイド外用薬が効かなくなることはない」と断言しています。

さらに、同様の主張をする皮膚科医はいます。

「使い続けると止められずに効きが悪くなり、次第に強いクスリになる、というウソ」

これも真っ赤な嘘です。ステロイドをきちんと使っていると、ステロイド軟膏の量はだんだんと減っていき、ランクも下がり、そのうちに塗る必要もなくなります。「やめられなくなった」としたら、それは弱いステロイドを使っているため、皮膚の湿疹が治らないからです。つまり、危険な「だらだら使い」になっているのです。

引用元:『専門医に聞く「新しい治療とクスリ」2 アトピー性皮膚炎』p73
江藤隆史(著) 論創社

江藤医師は、冒頭部分で「真っ赤な嘘」と全否定していますが、よく読むときちんとステロイドを使った場合という「条件付き」であることが分かります。

 

この点は、後述する「アトピー患者の立場からの考え方」に深く関連してきます。

 

さて、このように皮膚科医の中には「ステロイド外用薬が効かなくなることは無い!」と断言する方々が多いようですが、

調べてみると、ステロイド外用薬が効かなくなる現象は確かにあり、理論的根拠も存在することが分かりました。

1-2. ステロイドの効果減弱の理論的根拠

ステロイド外用薬がだんだんと効かなくなる(効果減弱)理論的な説明は、私たち一般人には読んでも分かりません。

おそらく、医師でも専門医でないと理解できないと思います。

でも、ココで何も説明しないのも問題ですので、ステロイド外用薬の効果減弱(抵抗性・タキフィラキシー)についての文章を引用することにします(赤太字の部分だけ読んで下さい)↓

ステロイド受容体にはα受容体(GRα)とβ受容体(GRβ)がある。GRβは構造上ドミナントネガティブとして作用するため、GRα受容体の作用に拮抗しステロイド作用に抑制的に働く。たとえば、ステロイド・GRβ複合体はikB発現を抑制するためにNFkB転写活性を抑制しない。GRβ受容体が強く発現する状況においてはステロイド・GRβ複合体の作用が発揮できないため、ステロイドによる抗炎症作用が減弱する。

引用元:『アトピー性皮膚炎治療のためのステロイド外用薬パーフェクトブック』p8
塩原哲夫(編) 南山堂

もう既に完全にちんぷんかんぷんですが、めげずにもう一文引用してみます↓

ステロイド薬には、長期連用による効果減弱、いわゆるタキフィラキシーが起こることが知られている。(中略)すなわち、ステロイド抵抗性喘息やAD(※)においては、本来の糖質コルチコイド受容体α(GCRα)の発現低下とともに、そのスプライシングバリアントであるGCRβ(デコイ受容体とも呼ばれる)の発現が誘導される。GCRβが誘導されると、本来のステロイドのシグナル伝達が抑制され、抗炎症作用が減弱する。(中略)このような現象は末梢血リンパ球や好酸球での報告が多く、皮膚での効果は困難であるが、ADにおけるステロイド外用薬においても、皮膚炎のコントロール不良例では、長期連用による効果減弱のメカニズムとして働いている可能性が考えられる。

引用元:『同上』p16

ADは、Atopic Dermatitis(アトピー性皮膚炎)の略です。

これらの文章を読むと、詳しいことは理解できないけれども、

ステロイド外用薬では長期連用の場合に効果減弱(タキフィラキシー)が起こり得る

ということは少なくとも理解出来ます。

ですから、「ステロイド外用薬が効かなくなるなんてことは無い」と断言するのは結構厳しいはずです。

1-3. 日米の皮膚科学会はどう考えているのか?

この点について、日本の皮膚科医の総本山である日本皮膚科学会の『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』では、どのように記載されているのでしょうか?

<参考2>タキフィラキシーについて
ステロイド外用薬を用いた治療中に、当初改善していた症状が再燃することもある。この現象の背景にステロイド外用薬の長期使用に伴う急速な効果の減弱(タキフィラキシー)を指摘する声も聞かれる。ステロイドの血管収縮作用に着目し、ステロイド外用薬がヒスタミンによる血管拡張に与える影響を検討した報告によると、外用開始14 日目には血管収縮作用の低下が見られ、皮膚炎の存在下ではより期に効果の減弱を認めたという。これらはヒスタミンの効果をステロイドで抑制する実験であり、ヒスタミン以外の機序も大きく病態に関与するアトピー性皮膚炎にそのまま当てはめて考えることはできない。慢性炎症性疾患である乾癬では、ステロイド外用薬による12 週間の治療中にステロイドタキフィラキシーはみられなかったという報告がある。皮膚炎の治療中に期待された効果が得られない場合は適切に外用が行われたか確認をすることも大切である。
引用元:『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』

ステロイド外用薬は使い続けると効かなくなるのか?について、はっきりとは述べていません。
ただ、どちらかと言うと、「効かなくなることは無い」というスタンスであることは理解できます。

さらに、アメリカの皮膚科学会のアトピー性皮膚炎治療ガイドラインの、タキフィラキシーについての文章も引用してみます。

Development of tachyphylaxis is of concern for some practitioners, where the efficacy is thought to decrease with repeated use of the same agent, although data are lacking to suggest that this is a significant clinical problem.

(管理人訳) タキフィラキシーが進行すると、同一の薬を繰り返し使用した場合にその薬効が減少すると考えられているが、これは一部の医師の懸念点となっている。ただ、それが臨床上の重大な問題であることを示唆するデータは不足している。

引用元:『Guidelines of care for the management of atopic dermatitis Section 2. Management and treatment of atopic dermatitis with topical therapies』

アメリカのガイドラインでも、ステロイド外用薬の効果減弱についての明言は避けていますが、

「ステロイド外用薬が効かなくなる」懸念は確かに一部で存在するけど、それが大問題であることを証明するデータは無い

ということを言っていますから、日本のガイドラインよりはステロイド外用薬の効果減弱についてより慎重な姿勢なのかもしれません。

 

さて、ここまで色々と難しい文章を引用してご紹介しましたが、私たちが抑えておきたいのは、

理論上、長期連用によってステロイド外用薬が効かなくなる可能性はある

という点だけです。


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2. ステロイドを塗る側の立場から考えるべき事とは?

さて、ここまでのお話をまとめますと

  • ステロイド外用薬がだんだん効かなくなること(抵抗性・タキフィラキシー)には、理論的根拠がある。
  • でも、皮膚科医の多くはそう考えていないか、問題視していない。

となります。

私たち「ステロイド外用薬を使う側」の人間が、

「ステロイドはだんだん効かなくなるのか?」という点についてどう考えるべきか?

は、多くの皮膚科医が「ステロイド外用薬が効かなくなることはない」と考えている理由を知ると、明確になります。

2-1. 皮膚科医が「ステロイド外用薬が効かなくなることはない」と考える理由

ここで、この記事の最初の方で掲載した江藤医師の文章の一部を、もう一度引用してみます。

「やめられなくなった」としたら、それは弱いステロイドを使っているため、皮膚の湿疹が治らないからです。つまり、危険な「だらだら使い」になっているのです。

引用元:同上

ステロイド外用薬の効果減弱(だんだんと効かなくなる)が起こり得るのは、

アトピー性皮膚炎が慢性化し、ステロイド外用薬を長期に渡って連用してしまう

という場合です。

そして、適切にステロイド外用薬を使う「きちんとしたアトピー治療」では、このような長期連用にはならないのが通常です。

アトピー性皮膚炎が慢性化・長期化してしまうのには、

  • ステロイド外用薬を使っていない(無謀な脱ステロイド)。
  • ステロイド外用薬を使っていても、使い方が不適切。
  • スキンケア(入浴・洗体・保湿)が不適切。
  • アトピー悪化原因を取り除いていない。

といった理由が考えられますが、ステロイド外用薬の効果減弱を感じるケースというのは、2番目の太字にした理由です。

ステロイド外用薬を塗る量や強さが、皮膚炎を鎮めるために全然足りていない

ということです。

 

アトピー性皮膚炎の治療でステロイド外用薬を使う場合には、

皮膚炎を綺麗にするのに十分な強さのステロイド外用薬を、十分な量きちんと皮膚に塗る

ということが必要です。

十分な強さ・量のステロイドを塗って、皮膚炎をコントロールすることが、アトピー性皮膚炎治療の大原則なのです(それと合わせて、皮膚炎を出にくくするための「悪化原因」の除去を行います)。

そして、このステロイド外用薬の「適切な」使い方は、まともな皮膚科医の指導に従えば、誰しも出来ることです。

2-2. ステロイド外用薬が効かなくなる心配は要らない

このような理由から、

ステロイド外用薬を適切に使う限り、アトピー性皮膚炎が慢性化することはなく、ステロイドが効かなくなることは有りません。

と皮膚科医は断言するわけです。

 

すると、私たちアトピー患者の立場からは、

ステロイドが効かなくなる心配は要らない。ただし、適切にステロイド外用薬を使う限り。

だから、きちんと正しくステロイド塗り薬を使うようにしなければ。

という結論・スタンスを取るのが、最も合理的となるはずです。

 

間違っても、

ステロイド外用薬は使い続けると効かなくなる怖いクスリ。

一旦使い始めたら一生使い続けるハメになるから、使っちゃダメだ!

という結論にはならないはずです。脱ステロイドはNGです。

 

ただ、きちんとステロイド外用薬を塗っていても、皮膚炎が治らない(治りにくい)と感じるケースがあります。

最後に、この点についても軽く触れておきます。

2-3. 別の原因でステロイド外用薬が効かないケース

ステロイド外用薬が効きにくく感じるケースの原因には、例えば

  • ステロイド外用薬で接触性皮膚炎(かぶれ)が起きている
  • 皮膚に細菌感染が起きている

のようなものがあります。

ここでは、この2つのケースについて少し詳しくお話したいと思います。

2-3-1. 黄色ブドウ球菌などの細菌が皮膚で繁殖すると、皮膚炎は慢性化する

アトピー肌は、普通の皮膚に比べて細菌感染が起こりやすくなっています。

さらに、ステロイド外用薬の副作用には「皮膚の局所免疫の低下」というものがありますから、ステロイドを使っている場合には、さらに皮膚で細菌・真菌が繁殖しやすくなります。

そして、黄色ブドウ球菌などの「悪い細菌」は、アトピー性皮膚炎を悪化させる大きな原因の1つと考えられています。

ですから、皮膚が細菌感染している状態では、ステロイド外用薬をきちんと使っても皮膚炎の悪化に歯止めを搔けられず、

ステロイドを塗っているのになかなか治らない・・・

という事態に陥る可能性が高くなります。

 

皮膚に細菌感染が起こっているかどうかは、素人目で判断するのは難しいですが、経験豊富な皮膚科医であれば見たらすぐに分かるそうです。

「そういえば、ニキビのようなボツボツが出来ているな・・・」というような場合には、皮膚科に行って診断を受け適切な処置をしてもらうことで、細菌は皮膚から短期間でいなくなります。

細菌を追い出した後にステロイドを塗ると、劇的に皮膚炎が綺麗になることにびっくりするはずです。

この点については、↓の記事で詳しくご説明していますので、ご参照下さい。

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2-3-2. ステロイド外用薬の成分で接触性皮膚炎(かぶれ)が起きている

「ステロイド外用薬が効かなくなった」と感じる原因、次の可能性は接触性皮膚炎(かぶれ)です。

ステロイド外用薬に限らず、皮膚に塗るタイプのお薬(外用薬)では、接触性皮膚炎という副作用は結構メジャーなものです。

ステロイド外用薬の場合、主成分である合成副腎皮質ホルモンに反応してかぶれてしまうケースもありますが、主成分以外の基剤・添加物に反応してかぶれている可能性もあります。

ステロイド外用薬の種類が変わってから、皮膚炎の治りが悪くなった

と感じる場合には、接触性皮膚炎が起こっている可能性が高いです。

かぶれている場合には、使用するステロイド外用薬を変えてみると接触性皮膚炎が起こらず、皮膚炎が再びきちんと治っていくはずです。

ステロイド外用薬を変える場合には、

  • 製品自体を変える
  • 基剤を変える(軟膏 or クリーム or ローションから選択)

という2つの選択肢がありますが、両方とも変えた方が、より確実に接触性皮膚炎を無くすことができます(その代わり、主成分と基剤・添加物のどちらにかぶれていたのかは分かりません)。

3. まとめ

最後に、この記事の内容を箇条書きでまとめてみます。

  • 理論上、アトピー慢性化による長期連用によって、ステロイド外用薬の効果減弱は起こり得る。
  • でも、適切にステロイド外用薬を使う限りアトピーの慢性化は防げるから、問題にはならない。
  • アトピー患者の立場(ステロイドを塗る立場)からは、「適切にステロイドを使おう」と決意することが大切。
  • 細菌感染・接触性皮膚炎など、ステロイド外用薬が効きにくくなるケースもあることを頭に入れておく。

「ステロイド外用薬はだんだん効かなくなる!」というのは、一時期流行ったアトピービジネス(悪質な代替療法など)の常套文句です。

ステロイド外用薬は、一生塗り続けないといけないクスリではありません。

適切にステロイド外用薬を使って皮膚炎を鎮め、アトピー悪化原因の特定・除去スキンケアを丁寧に行っていけば、皮膚炎は出なくなるからです。

 

十分な量のステロイドを塗って、まずはいったん皮膚炎を綺麗に治す!

と決意することが、アトピー治療のスタートであると私は考えます。


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 Category: ステロイドに関する誤解