ステロイド外用薬の副作用・リスクを正しく知る

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アトピー性皮膚炎を安全・着実に治していくためには、ステロイド外用薬を適切に使うことが大切です。

アトピー治療のゴールは、

ステロイド外用薬を使わなくても、保湿剤だけで健康な皮膚をキープ出来るようになる

というものですが、

この状態に到達するためには、ご自分の生活を見直して改善し、アトピーの悪化に繋がるものを取り除いていく作業が必要です(アトピー悪化原因の特定・除去)。

ステロイド外用薬を使わず皮膚炎が酷い状態のまま、このような作業を冷静に行うことはかなり難しいです。

身体的にも精神的にも余裕がなく、毎日を過ごすのに精一杯となってしまい、冷静に自分の生活を見つめることなど出来ないからです。

一方、ステロイド外用薬で皮膚の炎症を鎮めてあげれば、ストレス無く毎日を送る事ができて、アトピーの悪化原因を見つけ出す作業もコツコツと行うことが出来ます。

結果、アトピーの皮膚炎はだんだんと出づらくなって、最終的に保湿剤だけで健康な皮膚をキープできるようになる可能性が高まるわけです。

だいぶ端折りましたが、アトピー治療にステロイド外用薬の活用が必要な理由はこんな感じです。

 

ただ、このようなコトは、アトピーの方であれば百の承知だと思います。

それでもステロイド外用薬を使いたくないのは、ステロイド外用薬の副作用などのリスクが怖いからだと思います。

ステロイド外用薬のリスクを強く感じるからこそ、ステロイドを避けてしまうということです。

 

でも、そのような場合、ステロイド外用薬についての誤った情報・偏った情報・誤解によって、

ステロイド外用薬のリスクを必要以上に大きく見てしまっていることが多いです。

 

そこでこのページでは、ステロイド外用薬の副作用・リスクについてまとめてみたいと思います。

ここに書かれた情報を知った上で、もう一度ステロイド外用薬のリスクを考え直してみると、受け入れることが出来るレベルのリスクであることに気づくはずです。

ステロイド外用薬のリスクを受け入れる事ができれば、アトピー治療でステロイド外用薬を使うことができますから、アトピー治療はまた一歩成功に繋がります。

前置きが長くなりましたが、始めたいと思います。


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1. ステロイド外用薬の副作用の「本当のところ」を知る

ステロイド外用薬が怖いのは、その副作用に対する漠然とした恐怖心を持ってしまうからです。

正体不明のモノに対して、人間は誰しも恐怖心を持つように出来ていますから、ある意味仕方有りません(お化けが怖いのと同じです)。

でも、このような漠然としたステロイド外用薬に対する恐怖心は、ステロイド外用薬の副作用についての事実を知るとかなり解消されます。

そして、

  • ステロイド外用薬の副作用にはどのようなものがあるのか?
  • 実際に気を付けるべき副作用は何なのか?
  • 副作用を防ぐにはどうしたらよいのか?
  • 副作用が起こったらどう対処すればよいのか?

のようなポイントをしっかりと知れば、ステロイド外用薬は「正体不明のモノ」ではなくなります。

何の対策もしないでテストを受けると不安でしかたありませんが、しっかりと準備をして傾向と対策を知っていれば怖くなくなるのと同じイメージです。

 

では、ステロイド外用薬の副作用について、簡潔にまとめてみたいと思います。

  • 全身的で重篤な副作用は起こり得ない。
    → 成長阻害・骨がもろくなる・糖尿病・副腎障害などは外用薬では起こりません。
  • ステロイド外用薬の副作用は、局所的なもの。
    → 副作用は皮膚や眼に起こり得る。
  • その局所的な副作用のほとんどは可逆的なもの。
    → ステロイド外用薬の使用を中止すれば治るということ。
  • 副作用で気を付けるべきモノは、顔に現れる副作用。
    → 酒さ様皮膚炎・ステロイド紅潮など。
  • プロトピック軟膏を活用すれば、顔に現れる副作用は回避できる。
  • 副作用の兆候は、アトピー専門医であれば見抜ける。
    → 定期的(頻繁)に通院することが大切。
  • 万一副作用が起こっても、適切な処置をすれば治る。
  • 副作用のリスクを高めないために、皮膚炎を慢性化させないことが大切。
    → そのために「アトピー悪化原因の特定・除去」を必ず行う。

ズラーっと書いてしまいましたが、ステロイド外用薬の副作用についてまとめるとこんな感じになります。

まず、アトピービジネスで脱ステロイドを勧める方々が言うような、全身的な重い副作用は、ステロイド内服薬の副作用であって、外用薬では起こません。

例えば、「成長が止まる」・「糖尿病になる」といった事態にはなりません。

これを知らなかった場合には、この事実だけでもステロイド外用薬に対する恐怖心は減るはずです。

 

次に、ステロイド外用薬の局所的な副作用のうち、特に注意が必要なのは

  • 顔に現れる酒さ様皮膚炎
  • 身体に生じることがある皮膚萎縮線条
  • 眼の緑内障

の3つです。

顔の皮膚は他の部位に比べて薄くてステロイドの吸収率が高いため、効果も高い一方で副作用のリスクも高くなります。

顔に現れる副作用のうち、最も症状が重いのが酒さ様皮膚炎でして、これを発症するとかなり辛い状態になると言われています。

でも、顔のアトピーを治すための治療手順を理解して、いくつかの注意点を守りながら治療を行えば、副作用が現れるまえにステロイド外用薬を止める/軽くする/頻度を下げることが出来ます。

つまり、副作用が現れる前に皮膚炎を綺麗に治すことは、十分に可能ということです。

また、皮膚炎が中々治らない場合でも、ある程度皮膚炎を治した段階でプロトピック軟膏に移行すれば、ステロイド外用薬の副作用を回避することができます。

プロトピック軟膏(タクロリムス軟膏)には、ステロイド外用薬で現れるような副作用がほとんど起こらないからです。

つまり、顔に現れるステロイドの副作用は、適切なアトピー治療を行う限り避けることができるということです。

 

次に、妊娠線のように皮膚が割れてしまう皮膚萎縮線条についてです。

皮膚萎縮線条は、肩まわりや腕などに起こりやすい副作用ですが、コレが起こるのは強いランクのステロイド外用薬を数年間使った場合です。

適切にアトピー治療を進めればこのような長期連用にはなりませんから、ほとんどの場合、実際には心配は要りません。

「アトピーが慢性化している理由を突き止めず、皮膚科にはステロイドを貰いに行き、ただただ皮膚炎の部分に塗り続ける」というような使い方をしないことが大切です。

皮膚萎縮線条は、なってしまうと元に戻らない不可逆性の症状ですから、避けたい副作用の1つです。

ただ、仮に皮膚萎縮線条が起こってしまった場合であっても、洋服を着ている限り外からは見えませんから、男性の場合にはそこまで気にならないのかもしれません。

とはいえ、適切なアトピー治療を継続的に行えば、防げる副作用であると言えます。

 

最後に、眼に起こり得る緑内障についてです。

これは、目の周りに塗ったステロイド外用薬が眼の内部に浸入し、眼圧が上昇することで緑内障の発症に繋がるということです。

緑内障を防ぐためには、目の周りにステロイド外用薬を塗る場合には短期間にとどめることが大切と言われています。

ですが、目の周りにステロイド外用薬は塗るべきではないというのが私の考えです。

目の周り以外の部分の皮膚炎を鎮めれば、自然と目の周りの皮膚炎も改善していくと考えるからです。

 

以上が、ステロイド外用薬の副作用の「本当のところ」です。

繰り返しになりますが、まともな皮膚科医の指導の下で適切にアトピー治療を行う限り、ステロイド外用薬の副作用に悩む危険性はとても小さいです。

副作用が出る前にステロイド外用薬を弱くしていく/止めることができますし、

副作用の兆候は、毎回の診察時に皮膚科医にきちんと皮膚炎の状態を診てもらうことで、気づくことができ、その場合には適切な対処法を取れるからです。

 

ここでは、かなりザックリとステロイド外用薬の副作用についてお話しましたが、さらに詳しい解説は↓の記事でお読み頂けます。

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また、目の周りにステロイド外用薬を塗らない方が良い理由については、↓の記事でお話しています。

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さらに、ステロイド外用薬の副作用を防ぐための使い方・注意点については、↓の記事でまとめています。

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さて、ここまでのステロイド外用薬の副作用についての文章を読んでも、ステロイド外用薬に対して大きなリスクを感じてしまうこともあると思います。

それはおそらく、ステロイド外用薬に関するいくつかの誤解を持っていることが理由であるはずです。

そこで、次にステロイド外用薬に関する誤解についてお話致します。

2. ステロイド外用薬に関する誤解を解く

ステロイド外用薬に関する情報には、明らかに誤っているもの、偏っているもの、正しいかどうか不明なもの、などなど色々とあります。

ここでは、ステロイド外用薬に対する恐怖心の元凶となっている、ステロイド外用薬に関する誤解を4つご紹介したいと思います。

ステロイド外用薬に関する誤解でメジャーなものは、

  1. ステロイド外用薬を使うと身長が止まる・骨がボロボロになる。
  2. ステロイドを塗り続けると黒く色素沈着する。
  3. ステロイド外用薬はだんだんと効かなくなる。
  4. ステロイド外用薬には依存性があるから、ずっと使うハメになる。

の4つです。

それぞれ、簡潔にご説明します。

まず、1. の身長が止まる・骨がボロボロになるといった副作用は、上述のように、ステロイド内服薬の長期服用による副作用であって、ステロイド外用薬では起こりません。

ステロイド外用薬が体内に吸収される割合は極僅かであって、皮膚以外の部分に影響を与えるようなレベルのものではないことが証明されているからです。

他にも、糖尿病になる・顔が真ん丸になる・重い副腎機能障害が起こるといった情報は、全て誤解です。

 

次に、2.の色素沈着について。

アトピーの人に色素沈着が起こるのは、ステロイド外用薬のせいではなくて皮膚炎が慢性化したことが原因です。

アトピーに限らず、皮膚炎が慢性化すると色素沈着が起こります。

ですから、むしろステロイド外用薬を使わないことが色素沈着の原因と言えます。

他にも、「ステロイドを塗り続けると皮膚が厚くなる」といった症状も、皮膚炎の慢性化が原因です(苔癬化)。

 

3. の「ステロイドがだんだんと効かなくなる」という点については、完全な誤解とは言えません。

確かに、ステロイドのメカニズムとして「効果減弱」が起こり得ることが指摘されているからです。

でも、アトピー治療の現場でこの効果減弱を感じる皮膚科医は少数で、実際に問題とされることはありません。

日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインでも、アメリカのガイドラインでも問題とされていません。

むしろ、患者が「ステロイドが効かなくなった」と感じる場合、その原因は不適切なステロイド外用薬の使い方にあると考えられています。

具体的には、皮膚炎をきちんと治すための量を塗っていない・薄く擦り込むように塗ってしまっている・皮膚炎が治る前に勝手に中止してしまっている、などの不適切な使用です。

つまり、きちんとしたアトピー治療を行うかぎり、「ステロイドがだんだん効かなくなる」という心配は要らないということです。

 

最後に、「ステロイドには依存性があるから、ずっと使うハメになる」という誤解について。

まず、ステロイドには麻薬やニコチンなどのような依存性はもちろんありません。

ここでの「依存性」とは、「塗らないでいると皮膚炎が出るから、ずっと使うしかない」ということです。

この状態になってしまう理由は2つあります。

  • 皮膚炎が治りきる前にステロイドを塗るのを止めてしまっている。
    ← ステロイド外用薬の止めどきが早過ぎる。
  • 生活改善によるアトピー悪化原因の除去をしていない。
    ← 皮膚炎の出やすさが変わらない限り、皮膚炎は出てしまう。

皮膚炎が見た目上綺麗に治っても皮膚の下には炎症が残っていますから、その時点でステロイドを塗るのを止めると、すぐに皮膚炎が再燃してしまいます。

ですから、見た目が綺麗になってもしばらくの間は継続してステロイドを塗り続けることが必要となります。

また、ステロイド外用薬はあくまでも対症療法ですから、皮膚炎が出る根本的な原因を1つ1つ軽減したり取り除いていかないと、「ステロイドを止めると皮膚炎が出る」という状態になります。

つまり、皮膚炎を出にくくするための食生活の見直しなどの生活改善をしないといけないということです。

このように、適切なアトピー治療を行うかぎり、「ステロイドはずっと使わないといけない」という状態にはなりません。

むしろ、そうならないために、ご自分で生活を見直して改善することが、本当の意味でのアトピー治療と言えるのかもしれません。

更に詳しく

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以上が、ステロイド外用薬に関する4つの誤解です。

「適切なアトピー治療」を行う限り、このような主張は問題とならないことがお分かり頂けたと思います。

このようなステロイド外用薬に関する誤解については、こちらのページで詳細記事の一覧を掲載しています。よろしければご覧ください。


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3.  まとめ

以上が、ステロイド外用薬に対する恐怖心の元凶である

  • ステロイド外用薬の副作用についての事実
  • ステロイド外用薬に関する誤解

です。

ステロイド外用薬のリスクは、思っていた以上に小さいのかもしれない

と感じて頂けたでしょうか。

ステロイド外用薬のリスクを受け入れることが出来れば、ステロイド外用薬を適切に使って、アトピー治療をもっと効果的・効率的にしていくことが出来ます。

 

さて、皮膚科の先生方は患者に対して、

ステロイド外用薬は安全性の高いお薬ですから、心配は要りませんよー。

と言うことがほとんどです。

確かにその通りなのですが、重要な前提条件があります。

 

それは、ここまで何回も登場したフレーズでもある、

  • 適切なアトピー治療を行うこと
  • 適切にステロイド外用薬を使うこと

という条件です。

このような前提条件は、まともなアトピー専門の皮膚科医のもとでアトピー治療を行う限り、自然と満たされます。

でも、安全のためにも、

適切なアトピー治療とはどういうものか?どういう手順なのか?」・「ステロイド外用薬はどのように使うのが正しいのか?」というポイントについては、しっかりと情報を得て理解しておくことが大切になります。

アトピー治療を着実に進めるための方法と手順については、↓のページで詳しく解説しております。

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ステロイド外用薬の正しい使い方については、↓のページでまとめています。

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