アトピー性皮膚炎治療のステロイドで身長が止まるって本当?

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アトピー性皮膚炎の治療法についての情報収集をしていると、本当に色々な情報が出てきます。

中には正反対のことを言っている場合もあり、混乱の元になってしまいます。

きちんとアトピーを治していくためには、このようなアトピー関連の情報の中から

本当にアトピー治療に役立つ情報を取捨選択していく必要がありますから、結構たいへんです。

でも最低限、明らかに誤った情報というのは、最初に除外しておかなければなりません。

 

アトピー治療で使うステロイドについての「誤解」もその1つです。

今回の記事では、そのようなステロイドの副作用の誤解のうち、

子供のアトピー治療にステロイドを使うと、身長が伸びなくなる

というかなり重大なものについてお話したいと思います。

 

結論から言いますと、この主張は「半分正しく、半分間違って」います。

では、詳しく見ていきましょう。

この記事を読むと次のことが分かります
  • ステロイドで身長が止まってしまうケースとは?
  • アトピー治療で成長阻害が起こる危険な行為とは?
  • ステロイドの副作用を防ぐために大切なこと

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1. アトピー治療のステロイドでは身長は止まらない理由

結論から言いますと、通常のアトピー治療をしている限り、

アトピー治療で使うステロイドで成長阻害が起こって身長が止まる、ということはあり得ません。

でも、不適切で通例でないアトピー治療をしてしまうと、身長が止まるリスクは確かに存在します。

どういうことか?順にご説明していきます。

1-1. ステロイドは成長を阻害するから身長が止まる

ステロイド薬(合成副腎皮質ホルモン)が体内に一定量以上入ると、身体に起こった炎症を抑える強い効果がある反面、

全身的な重大な副作用が色々と起こってしまいます。

成長阻害(成長期の子供の身長が止まってしまう)も、その1つです。

つまり、

確かに、ステロイドには子供の身長を止める副作用のリスクがある

ということです。

でも、アトピー性皮膚炎の治療で使うステロイドの場合、その心配は全く要らないのが通常です。

1-2. アトピー治療で使うステロイドとは?

少し上で、「ステロイドが体内に一定量以上入ると成長阻害が起こり得る」と言いましたが、

アトピー性皮膚炎の治療では、体内に入るステロイドの量はごく僅かで、その量が「一定量」以上になることは有りません。

だから、アトピー治療のステロイドでは身長が止まる心配はないのです。

 

なぜ、通常のアトピー治療では「ステロイドが体内に入る量がごく僅か」なのか?と言いますと、

ステロイドのお薬のタイプが、外用薬(塗り薬)だからです。

ステロイドを直接体内に入れる内服薬(飲み薬)は、現在のアトピー治療ではほとんど使われることは有りません。

外用薬で十分な治療効果が得られますし、内服薬の効果(ベネフィット)と副作用のリスクを比較した場合、リスクの方がはるかに大きいからです。

1-2-1. 皮膚に塗ったステロイドが体内に入る量はどれくらい?

繰り返しになりますが、

ステロイド外用薬を皮膚に塗った場合に、皮膚から体内に入るステロイドの量はごく僅か

です。だから、アトピー治療で身長が止まることは有りません。

・・・と聞いても、

「ごく僅か」ってどれくらい?本当に身長が止まる心配はいらないの?

と不安になってしまいます。

 

そこで、

ステロイドを皮膚に塗った際に体内に入るステロイドの量は、具体的にどれくらいか?

についてお話したいと思います。

 

ステロイド外用薬を皮膚に塗ると、その成分は皮膚の毛穴を通して体内に吸収されます。

しかし、その割合はほんのわずかです。

ステロイド塗り薬のステロイドが体内に吸収される量については、

最も強いステロイド塗り薬(Strongest:ストロンゲスト)を1ヶ月に300g使用すると、

一般的なステロイド錠剤の1粒に相当する量のステロイドが体内に吸収される。

のように言われています。

この「ステロイド錠剤を1ヶ月に1粒」というステロイドの量では、取り返しの付かないような重い全身的な副作用は起こりません。

 

また、皮膚科で処方されるステロイド塗り薬のチューブは、1本5gです。

ですから、300gという量はチューブに換算すると60本もの量になります。

通常、アトピーの重症患者さんでも、これほどの量を短期間(1ヶ月)に塗ることはあり得ません。

強度のステロイド外用薬を適切に使えば、より少ない量・より短い期間で皮膚炎の症状は収まり、もっと弱いお薬に変えたり、塗る頻度を減らせるからです。

アトピーの重症患者さんで、ステロイド塗り薬を最も多く使っている場合でも、その量は1ヶ月でチューブ25本程度(125g)ほどだそうです。

 

以上のような事実から、

ステロイド塗り薬の使用によって体内に吸収されたステロイドが、成長阻害のような全身的な副作用を引き起こすことはない

と言われているのです。

※1 当セクションの以上の文章は、以下を参照して作成しました。
『丹羽博士の正しい「アトピー」の知識』(丹羽靭負著 廣済堂)p131-132

1-3. 誤ったステロイドの使い方は成長阻害のリスクを高める

以上のように、通常のアトピー治療を行う限り、ステロイドでお子さんの身長が止まることはあり得ません。

でも逆に言えば、通常でない「異常な」アトピー治療を行ってしまうと、

ステロイドの成長阻害の副作用が発生し、身長が止まる

という事態も起こり得ます。

 

「異常な」アトピー治療とは、

ステロイド内服薬(飲み薬)を使うアトピー治療

のことです。

 

アトピーを改善して治していくためには、対症療法としてのステロイド外用薬が必要ですが、ステロイドの内服を必要とするケースは極めて稀です。

ステロイド外用薬の効果が十分に得られない場合でも、ステロイド内服薬の処方以外の選択肢を全て試して、症状の改善を図っていくのが大原則です。

ですから、アトピー性皮膚炎が重篤化して合併症を起こし、皮膚炎を即座に改善しないと生命に関わる、といった特殊な状況を除き、ステロイド内服薬が使われることはあり得ません。

 

代替療法や民間療法の一部では、「自然療法」などと銘打ち脱ステロイドを推奨しながら、

その治療法を実践するアトピーの重症患者さんの症状がさらに悪化してしまい、「手に負えなく」なった段階に到達したら、ステロイド内服薬を飲ませて皮膚炎を一気に治してしまう

といった、無責任極まりない指導者もいるそうです。

また、医師の中でも、安易にステロイド内服薬を処方してしまう皮膚科医もいますから、注意が必要です。

 

万一、皮膚科でステロイド内服薬が処方された場合には、他の皮膚科医に診断してもらって、

本当にステロイド内服薬を飲むしか選択肢がないのか?という点について、セカンド・オピニオンを必ず貰うことをおすすめします。


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2. アトピー治療で身長が伸びなくなるもう1つの原因とは

アトピー治療で身長が伸びなくなるケースとしては、ステロイド内服薬の服用の他に、もう1つあります。

それは、子供のアトピー治療のための不適切・過剰な食事制限(除去食)です。

アトピー治療のための食事制限は、かなり広く行われているように思われます。

確かに、食物アレルギーがアトピー悪化原因であることが多いですし、

アレルギー食品でなくても、アトピーを悪化させる食べ物というのは確かに存在しますから、

アトピー治療のために食事制限を行うことは、アトピー改善のために有効なケースも多いです。

 

しかし、成長期に過剰な食事制限を行うことは成長を妨げ、身長が伸びなくなる原因となり得ます。

不適切な除去食によってお子さんが慢性的な栄養不足となり、十分に身体が成長しなくなるからです。

 

もちろん、「食べると湿疹が出ることが分かっているアレルギー食品を、数品目に限って食事から除去する」といったレベルの食事制限であれば、問題はありません。

しかし、例えば、

  • アレルギーの血液検査でお米の数値が高かったから、お米を一切食べさせない。
  • 動物性タンパク質はアトピーに悪いから、一切食べさせない。
  • 「玄米に薄い味噌汁、たくあんと煮干し」のような、「昔ながらの」質素な食事を毎日続ける。

といったレベルの食事制限では、成長期のお子さんが慢性的な栄養失調に陥るリスクが高まります。

このような除去食は、「○○と■■、それに△△なら食べてもよい」のように、

通常の食事からある品目を除去するという発想ではなく、もはや除去食ではありません。

具体的にどのような食事制限・除去食が危険なのか?を決めつけることは出来ませんが、

少なくとも、

  • 「○○は食べてはいけない」ではなく「○○なら食べてもよい」という食事制限
  • 食べていけない品目が数えきれないくらい多い

ような食事制限は、危険性が高いと私は考えます。

 

このように考えますと、アトピー治療のために食事制限を行う場合には、

必ずアトピー・アレルギー専門の皮膚科医の指導のもとで実践する

ということが、安全性のためには不可欠になります。

自分の判断だけで過剰な食事制限を行ったり、医師以外の「素人」の指導に従って食事制限を行うことは避けるべきです。

3. まとめ

最後にここまでの内容をまとめますと、

  • ステロイドで身長が伸びなくなるのは、ステロイド内服薬を飲んだ場合のみ。
  • ステロイド内服薬をアトピー治療で使うことは通常あり得ない。
  • ステロイド内服薬が処方されたら、他の医師のセカンド・オピニオンを必ず貰う。
  • 過剰な食事制限は、お子さんを栄養失調状態にして身長が伸びなくなるリスクがある。

となります。

「身長が止まる」といったステロイド内服薬の重い副作用を、あたかもステロイド外用薬の副作用であるかのように話して、アトピー患者のステロイド外用薬への恐怖心を煽る。

そして、その唯一の解決策として自社商品を強く推奨する。

このような営業手法は、一部の悪質なアトピービジネスの常套手段です。

 

アトピー治療法について情報収集をしていて、仮にこのような話を聞いた場合には、要注意です。

というか、スルーするのが安全です。

こういう意味でも、アトピー治療で使うステロイド外用薬についてある程度の情報を持っておくことは、かなり重要だと思います。


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 Category: ステロイドに関する誤解