【アトピー治療】プロトピック軟膏の活用法と具体的な使い方

 投稿日    最終更新日 2016/05/16

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現在のアトピー治療では、ステロイド外用薬に加えて、プロトピック軟膏(主成分:タクロリムス水和物)というお薬を使うことが出来ます。

ステロイドを長期間塗ると起こるような、皮膚への副作用がほとんど起こらないのが最大の特長ですが、

皮膚炎に塗ると、ひりひり感というか、皮膚が燃えるような灼熱感が出てしまうのが難点です。

皮膚科の先生は、ステロイドの副作用を避けたい場合や、副作用が出てしまっている場合にプロトピック軟膏を処方するのですが、

  • なぜステロイド外用薬ではなくプロトピック軟膏なのか?
  • プロトピック軟膏はどんなお薬なのか?
  • 灼熱感(ヒリヒリ感)はなぜ起きて、いつ鎮まるのか?

というような点について、きちんと説明しない場合が結構あるはずです。

その場合、プロトピック軟膏を使っても、

めっちゃ痛い!なんだこのクスリ!ふざけやがって・・。

というふうに、お薬や医者に対する不要な不信感を抱くことになります(以前の私のように)。

 

そこで、この記事では

  • プロトピック軟膏を使った方が良い状況とはどんな状況か
  • プロトピック軟膏の具体的な使い方

という点についてお話したいと思います。

この記事を読むと次のことが分かります
  • プロトピック軟膏とはどんなクスリか?
  • プロトピック軟膏のメリット・デメリット
  • プロトピック軟膏を活用すべき場面とは
  • プロトピック軟膏を使う場合の注意点

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1. プロトピック軟膏ってどんなお薬?

プロトピック軟膏の主成分はタクロリムス水和物という物質で、日本の製薬会社(藤沢薬品、現在はアステラス製薬)が研究開発し、1999年に発売開始されました。

プロトピック軟膏は発売されてから20年も経っていない、比較的新しいクスリですが、

その効果と使いやすさから、欧米では「ライフ・チェンジ・メディスン」などと持ち上げられることもあります。

なぜプロトピック軟膏は、それほどまでにアトピー治療に効果的と言われるのでしょうか?

まずは、プロトピック軟膏の効果・メリットについてまとめてみたいと思います。

1-1. プロトピック軟膏の効果とメリット

プロトピック軟膏の最大のメリットは、

ステロイド外用薬の使用で皮膚に現れるような副作用が、ほとんど起こらない

という点です。

ステロイド外用薬を長期連用すると、ステロイド潮紅・酒さ様皮膚炎・皮膚萎縮といった副作用が皮膚に現れることがあります。

プロトピック軟膏の主成分であるタクロリムスは、その仕組みがステロイドとは全く異なるため、ステロイドで起こる副作用が起こりにくいのです。

「ステロイド外用薬の最大のデメリットである、皮膚への局所的副作用が起こらない」というメリットは、これまでには出来なかったアトピー治療を可能にしたと言われることもあります。

この点については、後ろで詳しくお話します。

 

また、プロトピック軟膏は、「正常な皮膚からは吸収されない」という特徴を持っています。

詳しくは後述しますが、この点もアトピー治療にとってはかなり便利な特徴です。

1-2. プロトピック軟膏のデメリット

どんなお薬にも少なからず副作用があるように、プロトピック軟膏にもデメリットがいくつかあります。

プロトピック軟膏の主なデメリットを挙げると、

  • 使いはじめて数日は、塗った直後にヒリヒリ感・灼熱感を強く感じる。
  • ステロイド外用薬に比べて、皮膚炎を鎮める効果が現れるのが少し遅い。
  • 最強レベルのステロイド外用薬に比べると、効果が弱い。
  • おできやトビヒができやすくなる。

のようになります。

プロトピック軟膏の皮膚炎を治す効果(強さ)は、ステロイド外用薬でいえばストロング(Ⅲ群)程度か、ストロングとミディアム(Ⅳ群)の中間程度と言われています。

ですから、ストロンゲスト(Ⅰ群:最強クラス)やベリーストロング(Ⅱ群:2番目に強いクラス)のステロイド外用薬が必要なケースでは、プロトピック軟膏で代用することは出来ません。

さらに、ステロイドに比べてクスリの効き始めが少し遅い、皮膚への細菌感染(トビヒ等)が出来やすいといったデメリットもあります。

ですが、このようなデメリットは、プロトピック軟膏を塗った時の灼熱感・痛さに比べれば、無視できるレベルです。

それくらい、プロトピック軟膏の灼熱感はシンドいものです。

使用したことがある人なら共感して頂けると思いますが、医者がよく言う「ヒリヒリ感」というような、生易しい表現では全然足りません。

そこで次に、プロトピック軟膏の重大な難点である「灼熱感」が起こる理由について、詳しく見てみましょう。

ちなみにこの点は、実はプロトピック軟膏の活用法にも繋がる、結構重要なポイントです。

1-3. プロトピック軟膏の灼熱感・ヒリヒリ感・痛みの原因

まず、プロトピック軟膏を皮膚炎に塗ると、なぜヒリヒリとした燃えるような感覚(灼熱感)になるのか?その仕組みについてからです。

プロトピック軟膏の主成分は「タクロリムス水和物」と呼ばれる物質で、

プロトピック軟膏を塗った時の灼熱感は、この物質の分子サイズが大きいことが原因です。

 

どういうことか?順を追ってご説明していきます。

正常な皮膚(普通の皮膚)は、皮膚バリア機能がきちんと働いているため、皮膚から異物が侵入しにくい状態になっています。

具体的には、分子量が600以上の物質は、正常な皮膚からは経皮吸収されないことが分かっています。

分子量とは分子1個の質量を表す量ですが、質量と分子の大きさはある程度比例関係にあるため、分子量が大きくなれば、分子のサイズも大きくなります。

一方、アトピー性皮膚炎が起こっている皮膚は、皮膚バリア機能が弱っているために、分子サイズの大きな物質(分子量の大きい物質)も経皮吸収してしまいます。

具体的には、「分子量が900程度であればギリギリ吸収してしまう、分子量800くらいであれば半分くらい吸収される」という具合です。

 

さて、プロトピック軟膏の主成分であるタクロリムス水和物は分子サイズが大きい、と言いましたが、その分子量は822.03です(参照元:『プロトピック軟膏添付文書』

つまり、タクロリムス水和物は

正常な皮膚では吸収されないけれど、バリア機能の乏しいアトピー性皮膚炎の皮膚では吸収されてしまう

というサイズの物質なのです。

このような「通常は通ることが出来ない」サイズの物質が、バリア機能が壊れた皮膚を無理矢理通過していくことで、皮膚に燃えるような灼熱感が生じてしまうと考えられています。

ですから、皮膚炎などの無い正常な皮膚にプロトピック軟膏を塗っても、何も起こりません。

正常な皮膚からは吸収されず、皮膚の上にとどまるだけだからです。

また、プロトピック軟膏を塗り始めてしばらくは辛い灼熱感が続きますが、軟膏の効果によって皮膚炎が改善していくと、次第にその灼熱感は無くなっていきます。

これは、皮膚炎が治ることによって皮膚のバリア機能が修復され、タクロリムス水和物が通過しなくなっていくためです。

 

以上が、プロトピック軟膏を皮膚炎に塗るとメチャクチャな灼熱感を感じる仕組みです。

なぜヒリヒリしてしまうのか?なぜ使い続けると灼熱感は解消されていくのか?

がお分かりいただけたと思います。

ちなみに、ステロイド外用薬の主成分である合成副腎皮質ホルモンの分子量は450~550と言われていますから、すんなりと皮膚から吸収されます。

ですから、プロトピック軟膏のような灼熱感は起こしませんが、その代わり、正常な皮膚からも経皮吸収されてしまいます。

このセクションの「分子量と経皮吸収のしやすさの関係性」についての文章は、基礎からわかる外用剤 | マルホ株式会社のページを参照して作成致しました。

2. プロトピック軟膏を活用した方がよい場面

さて、プロトピック軟膏の効果・メリットとデメリットについて整理したところで、

プロトピック軟膏をアトピー治療に活用する方法

について具体的に見ていきたいと思います。

2-1. 顔面にステロイド外用薬の副作用が出た場合

顔や首の皮膚は、皮膚が薄くステロイドの経皮吸収率が高いため、ステロイド外用薬の副作用が現れやすい部分です。

ですから、顔のアトピーにステロイドを塗り続けると、ステロイド紅潮(赤ら顔)や酒さ様皮膚炎といった副作用が皮膚に現れることがあります。

顔に現れるこのような症状は、症状自体も辛いですが、周囲からも見えてしまうという「容姿の観点」からも大きな精神的なストレスとなってしまいます。

しかも、顔は他の皮膚に比べてもともと刺激に弱い上、洋服で隠れている部分と違って常に外部に露出していますから、刺激を受けやすい部分です。

そのため、顔のアトピー性皮膚炎は慢性化しやすく、ステロイド外用薬も長期連用となりがちです。

この意味でも、顔にはステロイド外用薬の副作用が現れやすいのです。

 

一方、プロトピック軟膏には、ステロイド外用薬に見られる皮膚への局所的副作用がほとんどありません。

ですから、ステロイド外用薬を使う期間が長くなって副作用が現れてしまった場合には、プロトピック軟膏に切り替えることで、その副作用の症状は改善していきます。

その症状の原因である「ステロイド外用薬の使用」が無くなったからです。

また、副作用がまだ起こっていない場合でも、ステロイドの副作用を防止する観点から、プロトピック軟膏に早めに切り替えていく方法もあります。

 

このように、顔の皮膚炎を綺麗に鎮めてくれる効果を持ちながら、皮膚への副作用が起こりにくいプロトピック軟膏は、顔のアトピー治療に最適なお薬なのです。

 

ただ、皮膚炎がかなり残っている段階でプロトピック軟膏に切り替える、もしくは、最初からプロトピック軟膏を使用するのはやめた方がよいです。

ほぼ確実に強烈な灼熱感が強く出てしまうからです。

まずは、ステロイド外用薬をきちんと使って皮膚炎をある程度綺麗にして、皮膚のバリア機能を一定以上に修復しておき、

その段階でプロトピック軟膏に切り替えて塗り始めれば、灼熱感・ヒリヒリ感・ほてり感はかなり軽くなるはずです。

 

ちなみに、プロトピック軟膏の灼熱感で辛い経験をした私から言いますと、

皮膚炎がだいぶ残っている状態でプロトピック軟膏を処方する皮膚科医は、「患者の痛みを想像できない」という点で、優秀な医師ではない

と思います。

プロトピック軟膏の灼熱感が辛くて我慢できない!という場合は、無理して塗リ続けるのではなく、お医者さんにその旨を伝えて相談してみましょう。

「ステロイド外用薬をもう少し続けて使ってから、プロトピック軟膏に再び切り替える」などの対策をしてくれるはずです。

とはいえ、ある程度の灼熱感は我慢しなければなりません。
私の場合は、灼熱感が続くのは塗り始めてから長くて3日でした。徐々に軽くなっていきますし、すぐに何も感じなくなります。

2-2. プロアクティブ療法を行う場合

最近では、プロアクティブ療法と呼ばれるアトピー治療法の有効性が認識されはじめています。

プロアクティブ療法とは、皮膚炎が綺麗になった後も、再び皮膚炎が起こる前に予めステロイド外用薬を塗ることで、皮膚炎の再発を未然に防ぐお薬の使い方です。

最初は1日おきに外用薬を塗る、その後は、2日おき→1週間に2回→1週間に1回 というように、

だんだんと外用薬を塗る回数を減らしていき、最終的には保湿剤だけで皮膚炎が出ない状態をキープできるようになるのがゴールです。

このゴールに到達するためには、ステロイド外用薬の使用だけではなく、アトピー悪化原因の特定・除去の作業が必要不可欠です。

これまでの一般的なステロイド外用薬の使い方は、

皮膚炎が良くなったら止めて、再び皮膚炎が出てきたら使い始める

というものでした(リアクティブ療法と呼ばれます)。

リアクティブ療法は、軽症のアトピーであればあまり問題になりませんが、

重症・中等症のアトピー性皮膚炎では、結果的に強いステロイド外用薬の長期連用となり、副作用を起こす危険性が高くなってしまうというデメリットがあります。

プロアクティブ療法は、このような「使っては止め、止めては使い」というリアクティブ療法の問題点を解決する外用薬の使用法として、その有用性が認識されているのです。

 

ただ、プロアクティブ療法にも問題はいくつか存在します。

例えば、

  • 外用薬を塗る頻度をどのように調整するのか?という判断が難しい。
  • なかなか「保湿剤だけ」という状態に到達せず、結果的に長期連用となるケースがある。
  • 皮膚炎がある程度綺麗になった段階では、皮膚のどの部分に炎症があるか分かりにくく、正常な皮膚にもステロイドを塗ってしまう。

というような点です。

プロトピック軟膏では、このようなプロアクティブ療法の問題点のうち、3つ目の問題点を解消してくれます。

プロトピック軟膏の分子量は大きいため、正常な皮膚からは吸収されません。

ですから、皮膚炎がどこか明確に分からない場合に、正常な皮膚の部分に軟膏を塗ってしまったとしても、経皮吸収されないため、問題が起こりにくいのです。

一方、ステロイド外用薬の場合、正常な皮膚でも吸収されてしまいますから、皮膚炎のない皮膚にも副作用のリスクが高まってしまうことになります。

つまり、プロアクティブ療法をより安全に行う観点からは、プロトピック軟膏の方がステロイド外用薬より優れているということです。


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3. まとめ

以上のように、プロトピック軟膏には

  • ステロイド外用薬で起こる皮膚への副作用がほとんど起こらない
  • 正常な皮膚からは経皮吸収されない

という利点があるため、顔面のアトピー治療やプロアクティブ療法の外用薬として活用することが出来ます。

特に、顔のアトピー治療でステロイドの副作用を防ぎたい場合には、最も有効な手段となります。

ステロイドを顔に塗り続けていて、顔が赤くなってきた?と感じる場合などは、すぐに皮膚科に行って症状を診てもらい、プロトピック軟膏への切替えについて相談してみましょう。

ただ、アトピー治療に便利なプロトピック軟膏ですが、上でご紹介した灼熱感などのデメリット以外にもう1つ、大きな懸案事項があります。

それは、「プロトピック軟膏で皮膚がん・リンパ腫の発生リスクが高まる」との指摘が一部であることです。

結論から言えば、そのリスクは極めて小さく、アトピー治療のための通常の使用では全く問題無いのですが、

「発がん性が気になる」「それは初耳!医者から聞いてない!」という場合には、↓の記事をご一読されることをおすすめします。

より納得して、安全にプロトピック軟膏を使うためです。

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【参考文献】

『専門医に聞く「新しい治療とクスリ」2 アトピー性皮膚炎』p88~97
江藤隆史(著) 論創社


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 Category: プロトピック軟膏