「アトピーは完治しない」って本当?分かりやすく解説してみた

 投稿日    最終更新日 2016/03/28

「アトピーは完治しない」は本当か
お医者さんに「アトピーは完治しません」って言われると、ショックですよね。

私も、学生時代にかかりつけ医にサラッとそう言われて、絶望したことを覚えています。

ああ、自分は一生、この肌のままなんだ。。。

のように。

しかし、「アトピーは完治しない」というのは、
「健康な肌、普通の肌は手に入らない」ということでは決してありません。

アトピーについての正しい知識を身に付け、正しい治療を主体的に行えば、「普通の肌で普通の生活」が出来るようになります。

ですから、落ち込んだり、絶望したり、自暴自棄になったりしないでください。

 

この記事では、

  • なぜ「アトピーは完治しない」と言われるのか?
  • それは正しいのか?本当なのか?
  • 私たちが目指すべきアトピー治療のゴールは何なのか?

というテーマについてお話したいと思います。


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1. なぜ「アトピーは完治しない」と言われるのか?

皮膚科医の先生に、

あなたのアトピー性皮膚炎は完治しません。

って言われると、まるで「不治の病」の宣告を受けたみたいで、ショックですよね。

しかし、医者は何も患者を絶望させるためにこう言うのではなく、事実ベースで論理的に考えると、このような結論(「アトピーは完治しない」)になってしまうだけなのです。

では、アトピー性皮膚炎を「事実ベースで論理的に」捉えると、どのようになるのでしょうか。見てみましょう。

まずは、アトピー性皮膚炎が発症する理由についてシンプルに考えることからスタートしてみます。

1-1. アトピー性皮膚炎が発症する理由をシンプルに考えると…

アトピーに悩む方なら誰しも、

なんで自分はアトピーなんだろう…。しんどい…。

という風に、「なぜアトピー性皮膚炎になったのか?」という疑問を持ったことがあると思います。

その理由は、

  • アトピー性皮膚炎になりやすい体質であること
  • アトピー性皮膚炎の原因に身体が晒されること

この2つの条件が揃うと、アトピー性皮膚炎は発症する。

という様に、とてもシンプルに考えることができるはずです。

 

このことは、感覚的にも経験的にも納得できるかと思います。

例えば、私の場合ですと、

  • 赤ん坊の頃から肌がカサカサしていた「乾燥肌体質」
  • 食物アレルギー、ハウスダストアレルギーなどの「アレルギー体質」
  • 「身体の疲れがまず肌に出る」という体質

といった、アトピー性皮膚炎になりやすい体質を持っています。

そんな体質の私が、

  • 食物アレルギーの1つである卵を食べまくる
  • 保湿(スキンケア)を全くしない(ノーガード戦法)
  • 睡眠不足や夜型の生活を続ける

というような、アトピー性皮膚炎発症(悪化)の原因に自分の身体を晒すと、残念ながら100%確実に皮膚炎が出ます。

一方、

アレルギーって何? その牛乳飲まないならちょうだい!

保湿クリームって何のために使うの?もしかして美容?女子か!!

今週は4日徹夜した!けど全然元気!!今日も朝まで飲む!

という感じの、人類最強レベルの遺伝子を持つヤツですと(クラスに1人はこういう超健康優良児がいましたよね)、

何を食べても、風呂あがりに何も塗らなくても、不摂生をいくら続けても、アトピー性皮膚炎は発症しません。

アトピーが発症する原因に晒されても、アトピー性皮膚炎になりやすい体質を持っていないから、平気なのですね。
アトピーが発症する2つの要因のうち、1つ(体質)が欠けているから発症しない、ということです。

 

ちなみに、同様に考えると、アトピー体質の私が皮膚炎を起こさないためには、2つの要因のうち「身体をアトピー悪化原因に晒すこと」を無くせばよいことになります。

これは、アトピーの標準的治療法の「3つの柱」の1つ、「アトピー悪化因子の特定と除去」に該当します。

 

ここまでの話を整理すると、

アトピーになりやすい体質の人が、アトピー発症(悪化)原因に触れると、アトピー性皮膚炎が発症する。

というふうになります。

めちゃくちゃ当たり前のことを言っていますね。でも、怒らないで読み進めて下さい。

1-2. アトピー性皮膚炎になりやすい体質が根本的に治ることは無い

アトピー性皮膚炎の状態が酷いときに、ツルツル・ウルウルの肌を持つ友人を見ると、

俺のアトピー体質、治らないかな・・・。何をしても皮膚炎が出なかったら、どんなに楽だろう。

のように、嫉妬とともに自分の体質を呪うことがありました(同じような気持ちになる方は多いのではないでしょうか)。

しかし、

アトピー体質だから、アトピー性皮膚炎が出るんです!アトピー体質を治しましょう!

といったコトを謳う治療法や民間療法は多いですが、アトピー体質を根本から治すことは非常に困難です。現時点では「不可能」だと個人的には考えています。

このように考える理由は、

アトピー性皮膚炎になりやすい体質は、たぶん遺伝のせい

だからです。

「たぶん遺伝のせい」などと、ふざけている感じになってますが、ふざけているわけではありません。

ここで、アトピー性皮膚炎になりやすい体質と遺伝の関係について少し見てみることにします。

1-2-1. 「たぶん遺伝のせい」の根拠は2つ

経験則的に、親がアトピーだと子供もアトピーであるケースが多いように感じますよね。

実際の統計でも、アトピー性皮膚炎の親を持つ子どもがアトピーを発症する確率は56%ですが、両親ともにアトピー性皮膚炎でない場合に子どもがアトピーになる確率は21%と相対的に低くなっています。

また、双子(一卵性双生児)の一方がアトピー性皮膚炎の場合、もう1人もアトピー性皮膚炎である確率(一致率)は0.72~0.86(72%~86%)と、非常に高いです(参照元:『コメディカルのためのアトピー性皮膚炎対処ガイドブック』(厚生労働科学研究))。

このことは、統計的に「アトピー性皮膚炎になりやすい体質は遺伝する」ということを示唆しています。これが、アトピー体質が「たぶん遺伝のせい」である1つ目の根拠です。

私事で恐縮ですが、実際、私の可愛い息子も月齢6ヶ月の時点で「アトピー性皮膚炎」の診断を受けてしまいました。

 

また、遺伝子の観点からもアトピー体質の研究は進められていて、現時点で少なくとも100を超える遺伝子が、「アトピー性皮膚炎に関連する」と疑われています(参照元:日本アレルギー協会関東支部『関東支部だより(第4号)』)。

実際、多くの研究者が、アトピー性皮膚炎体質の原因を遺伝子レベルで解明しようとしています。
(しかし、その複雑さと数の多さのせいか、アトピー体質を改善する特効薬のようなものに繋がる成果は出ていません。)

このような状況を考えると、遺伝子レベルの観点からも、「アトピー体質は遺伝する」ことが示唆されます。これが、「たぶん遺伝のせい」の2つ目の根拠です。

 

以上のように、統計学的にも、遺伝子研究の観点からも、

アトピー性皮膚炎になりやすい体質は遺伝する!遺伝のせい!

とハッキリ言っても問題無さそうですなんですが、アトピー体質になる原因について全てが判明しているわけではないので、「たぶん遺伝のせい」という表現が適切なんだと思います。

1-2-2. 遺伝が原因なら、アトピー体質は治らない?

ここまでのお話から、

アトピー性皮膚炎になりやすい体質は、遺伝子にその原因がある

と考えて良さそうです。

もちろん、生まれた後に後天的にその体質になってしまうケースもあるはずです。

しかし、ここでは問題をシンプルにするため、

アトピー体質=両親から遺伝したもの

と言い切ってしまうことにします。

 

このように考えると、次のような論理で、けっこう残念な結論にたどり着きます。

アトピー体質なのは、遺伝子のせい。

その原因となる遺伝子異常の研究は、現時点で治療法に繋がるまでには至っていない。

遺伝子研究に基づくアトピー体質改善の治療は受けられない。

(現時点で)アトピー体質は治せない。

もちろん、アトピーになりやすい体質の中には遺伝に関係しない後天的なものも含まれる可能性はありますし、「○○をしたらアトピー体質が治った!」という体験談もよく目にします。

しかし、このような体験談や宣伝文句は「(その人は)たまたま治っただけ」と考えた方が無難です。

それに、身体の体質は年齢によって変化しますから、ある時点でアトピー体質が治った!と思っても、時間の経過とともに体質が変化してアトピー体質に戻ってしまう、ということもあるはずです。

以上のように、アトピーの方の全体を対象として考えると、一般的に「アトピー体質は治らない」と考えた方が論理的だと言えるはずです。少なくとも現時点では。


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1-3. アトピー悪化原因が全て無くなることはあり得ない

ここまで、アトピー性皮膚炎が発症する理由の2つの要素のうち、「アトピー体質」について見て参りました。

次に、もう一つの要素である「アトピー悪化原因に身体が晒されること」について考えていきます。

アトピー性皮膚炎を発症・悪化させる外部的な原因(以下、アトピー悪化原因といいます)には、様々な種類があります。

例えば、

  • アレルギー物質(アレルゲン)の体内への侵入(食物・ハウスダスト等)
  • 黄色ブドウ球菌などの細菌が皮膚で繁殖すること
  • 大気汚染(NOxなど)やタバコの副流煙
  • 水道水に含まれる塩素(次亜塩素酸イオン)
  • 睡眠不足や不規則な生活リズム
  • ストレス
  • 紫外線
  • 甘いお菓子や油分の多い食品、お肉の食べ過ぎ
  • アルコールの摂取

などがあります。例を挙げだすとキリがないくらいです。

そして、これらのアトピー悪化原因を全て取り除くことは、不可能です。「たぶん」ではなく「絶対」に。

その理由は3つあります。

1-3-1. 【理由1】アトピー悪化原因は個人個人で異なり、多数あるから

まず、アトピー悪化原因は人によって大きく異なります。

例えば、同じアレルギー体質でも人によってアレルゲンは異なりますし、ストレスがもろに肌に出る人がいれば、ストレスに強い人もいます。

このように、アトピー悪化原因が個人個人で異なることは、わりと納得しやすいかと思います。

また、ある人のアトピー悪化原因は、1つではなく複数(たくさん)あるのが通常です。これも、ご自身のアトピー悪化原因について考えて頂ければ、納得できるかと思います。

 

このように、アトピー悪化原因は個人個人で異なり、多数あることから、悪化原因を全て特定して全部取り除くことはとても困難になります。

もちろん、多数あるアトピー悪化原因のうち、実際にアトピー性皮膚炎への悪影響が強いものを何個か特定することは可能です。

そして、そのような主なアトピー悪化原因を除去することで、アトピー性皮膚炎の悪化(再発)はかなり抑えられます。

 

しかし、ご自身のアトピー悪化原因の全てを特定・除去することは無理ですし、「アトピー悪化原因は状況によって変化する」と考えるのが合理的です。

「アトピー悪化原因が無くなることはない」理由の2つ目が、コレです。

1-3-2. 【理由2】アトピー悪化原因は生活環境によって変化するから

よく聞く話ですが、

  • 子供の頃はアトピーが酷かったけれど、大人になったらスッカリ良くなった。
  • 子どもの頃はなんともなかったのに、社会人になった途端にアトピーが発症してしまった。
  • 都市部に引っ越した頃から、アトピー性皮膚炎が出てしまった。
  • 転職したら、アトピー性皮膚炎が改善した。
  • 精神的に辛い状況が続き、アトピーが悪化した。

のような体験談は、生活環境の変化によってアトピー悪化原因も変化することを示していると考えることができます。

生活環境が変われば、アトピー悪化原因も変わることは直感的に分かると思います。

例えば、空気の悪い都会暮らしだった人が空気の良い田舎に引っ越したケースで、「大気汚染」がその人の重要なアトピー悪化原因だった場合、アトピーが大幅に改善することは十分に考えられます(逆もしかり)。

社会人になってアトピーが出た、というのも生活環境の変化ですよね。1日の大半を過ごす場所が変わりますし、学生時代に比べてストレスは確実に大きくなります。

長い人生、「生活環境を変えずに一定にキープする」というのは非現実的です。

 

また、精神状態・メンタルの状態も、広い意味で生活環境の1つと言えるのではないでしょうか。

精神状態の良し悪しは、アトピー性皮膚炎の状況の良し悪しに繋がるケースが多いと考えられます。

具体的には、精神的に追い込まれているときにはストレスが大きくなり、そのストレスがアトピー悪化原因になります。

ご自身の過去の体験・精神状態とアトピーの症状を思い返して頂きたいのですが、

悲しい出来事があって落ち込んでいるときや、仕事のノルマ・期限に追われて精神的な余裕が皆無のとき、アトピーが悪化することが多いはずです。

逆に、ストレスをほとんど感じずメンタルが良好にキープされている状況では、アトピーの症状は比較的落ち着く傾向にあったのではないでしょうか。

つまり、「精神状態とアトピー性皮膚炎の症状は深く関係している」ということが言えます。少なくとも経験則的には。

そして、生きていれば色々な出来事が起こり、そのたびに精神状態は変化します(もちろん、ある程度コントロールは可能ですが)。

つまり、精神状態の変化には一生付き合わなくてはなりません。

このように考えると、精神状態・メンタルの状態も生活環境の一部と捉えることができます。

 

まとめますと、

  • 住環境や職場環境などの生活環境を一定にキープすることは、無理。
  • 精神状態・メンタルの状態を一定にキープすることも、無理。
  • つまり、生活環境は変化し続ける。
  • したがって、アトピー悪化原因も変化し続ける。

という風になります。

このように考えますと、

ある時点でその人のアトピー悪化原因をシラミ潰しに特定・除去しても、生活環境が変化すれば、再びアトピー悪化原因が出現してしまう

ということになります。

これが、「アトピー悪化原因が無くなることはない」2つ目の理由です。

1-3-3. 【理由3】環境汚染は改善されないから

ここまで、個人レベルのアトピー悪化原因について見てきました。

次に、全ての人に共通のアトピー悪化原因について考えてみることにします。

「全ての人に共通のアトピー悪化原因」とは、つまり地球規模の環境汚染のことです。

具体的には、

  • 大気汚染(NOx、ダイオキシン等)
  • 海洋汚染(魚介類への有害物質の蓄積など)
  • オゾン層減少による紫外線の増大

などです。

大気汚染・海洋汚染・紫外線の増大などは、多くの人に共通するアトピー悪化原因です。実際、紫外線が強くなったことによる皮膚への悪影響の重大さは、アトピーに限らず問題視されています。

このような環境汚染については、私が小学生のころ(20年程度前)から問題視されてきましたが、改善される気配はありません。全世界でまさに地球規模で環境保護に取り組んでいるのにも関わらず、です。

紫外線などは、むしろ悪化しているようにさえ思えます。

このような状況を踏まえると、アトピー悪化原因となる環境汚染については、「今後も悪化こそすれ改善はされない」と考えるのが現実的なのではないでしょうか。少し悲観的かもしれませんが。

 

つまり、

大気汚染・紫外線などの環境汚染は、多くの人に共通のアトピー悪化原因である。

そのような環境汚染は改善が期待できない。

アトピー悪化原因として残り続ける。

ということです。

これが、「アトピー悪化原因が無くなることはない」理由の3つ目です。

1-4. 医者が「アトピーは完治しない」と言う理由

ここまでお読み頂ければ、皮膚科医の先生方の多くが「アトピー性皮膚炎は完治しない」と言う理由がお分かり頂けると思います。

つまり、こういう論理です↓

アトピー性皮膚炎になりやすい体質は、根本から治ることは無い。

アトピー悪化原因も完全に取り除くことは出来ない。

従って、アトピー性皮膚炎を完治させ、皮膚炎の症状が出る可能性をゼロにすることは不可能である。

こういった論理で、「アトピーは完治しない」と言われてしまうわけです。

 

お医者さんが、患者にこの論理について詳しく説明することをせず、

アトピー性皮膚炎は完治しませんので、上手く付き合っていきましょう。

的なことを、サラッと言うものだから、こっちは不要な反感や不信感を抱いてしまうのだと私には思えます。

お医者さんには、説明しようとする姿勢と配慮を持って頂きたいものです。

 

さて、ここで、医者が「アトピーは完治しない」と言う場合の、その言葉の意味についてもう少し詳しく考えてみることにします。

上でお話した論理以外にも、2つの意味があると私は考えます。

1-4-1. 「アトピーは(一般的に)完治しない」という意味

突然ですが、アトピー性皮膚炎を英語表記すると、"Atopic dermatitis"となります。

"atopic"は「アトピー性の」、"dermatitis"は「皮膚炎」と訳されます。

そして、atopic(名詞形:atopy)の語源をたどると、"atopia"もしくは"atopos"というギリシア語にたどり着き、これらの言葉は「奇妙な」という意味を持っています(ちなみに、atopyという英語が出来たのは1923年のことだそうです)。

つまり、アトピー性皮膚炎は「奇妙な」皮膚炎という意味なのですね。

誰が「奇妙だ」と感じたのかといえば、お医者さんです。

 

では、なぜお医者はアトピー性皮膚炎を診て、「奇妙だ」と感じたのでしょうか。

 

それは、

アトピー患者に共通する原因がハッキリとしない

からです。

ここまでお話してきましたように、アトピー性皮膚炎になりやすい体質は色々と種類がありますし、アトピー悪化原因も個人の生活環境によって様々です。

アトピー患者に共通する主な原因が特定できていて、その原因を取り除く方法があるのなら、多くのアトピー患者を治すことが出来るはずです。

このような状況になれば、「アトピーは一般的に完治する病気です。」とお医者さんも言えるのでしょうが、現時点ではそのような状況にありません。

 

ですから、

アトピーの原因は○○です!○○さえ無くせば、アトピーは完治します!

とは言えないわけです(ちなみに、こういう主張をしている人間には注意が必要です)。

現在、アトピー体質の研究は日夜行われており成果が期待されていますが、現段階では根本からアトピーを完治する(アトピー体質を変える)治療法は登場していません。

 

このように、「全てのアトピー性皮膚炎患者を根本から完治させるような治療法は無い」という意味で、医師は

「アトピーは(一般的に)完治しない」

と言っている。と考えることが出来ます。

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1-4-2. 「アトピーは(医者の力だけでは)完治しない」という意味

もう一つ、「アトピーは完治しない」の意味が考えられます。

アトピー性皮膚炎の場合、ステロイド塗り薬を使って皮膚炎の症状を抑えても、しばらくすればまた皮膚炎が出てきてしまいますよね。

それは、アトピー悪化原因がまだ身体や生活環境に存在しているからです。

つまり、アトピー悪化原因を取り除くことが、アトピー性皮膚炎の治療にはどうしても必要になってきます。

そして、ここが重要なのですが、このアトピー悪化原因の特定・除去は「自分で」行うしかありません。

もちろん、かかりつけの皮膚科医の先生に、色々と相談してアドバイスを貰うことはできます。

しかし、医者が1ヶ月(数ヶ月)に一度、1回数分間の診察で、その原因を特定することはかなり厳しいはずです。

やはり、自分の身体や生活環境について一番良く知っている本人が、日々の生活の中でアトピー悪化原因を探して、除去していく他ないわけです。

つまり、

本人が積極的にアトピー治療に取り組む姿勢が必要

ということです。

この姿勢の必要性は、日本皮膚科学会の『アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』の中でも、度々登場しています(「アドヒアランス」という観点から説明されています)。

同ガイドラインでは、「治療に主体的に取り組む患者の治療効果は高いが、そうでない患者の治療効果は低い」という趣旨のことが書いてあります。

簡単に言えば、「自分で治そうとしている人の治りは早い」ということですね。

 

このように考えると、

「アトピーは(医者の力だけでは)完治しない」

とも解釈できるはずです。

1-5. ここまでのまとめ

ここまでのお話をまとめてみますと、

医者が「アトピーは完治しない」と言うのには、

  • 遺伝によるアトピー体質は治らないし、アトピー悪化原因も無くならないから。
  • アトピー性皮膚炎の原因は複雑で個人によっても異なるため、多くのアトピー患者に共通して有効な完治のための治療法は無いから。
  • アトピー治療は医者の力だけでは出来ないから。

といった理由・背景がある。

ということになります。

 

「アトピーは完治しません。」と医者が言うのは、

ここまでお話した内容を踏まえると、少なくとも「論理的には正しい」と思えたはずです。

 

しかし、医者のこのような発言を聞くと、イラッとしますし、なんだかモヤモヤしたり気分が落ち込んだりします。

なんででしょうか。

それは、「アトピー治療のゴール(目標)」をキッチリと説明してくれないからです。

 

最後に、「アトピーは完治しない」という結構ガッカリな「事実」を踏まえて、私たちが目指すべきアトピー治療のゴールについて考えてみることにします。

2. 私たちが目指すべきアトピー治療のゴール

ここまで、アトピー性皮膚炎の体質や悪化原因について、「事実ベースで論理的に」考えてきました。

途中で、もしかしたら

アトピー体質は治らない、原因も無くならない、アトピーは完治しない、

じゃあ、自分の肌はずっとアトピーなの??普通の肌で普通の生活をするのは無理なの??

という感じで、イラッとしたり気分が沈んだりしたかもしれません。

 

しかし、

「アトピーは完治しない」
=(イコール)
「一生、アトピー性皮膚炎の症状が出続ける」

ということでは決してありません。

あくまでも、アトピー性皮膚炎の症状が出る可能性は常にある、というだけです。

2-1. 現実的で満足度の高いアトピー治療の目標とは

この事実を踏まえたとき、私たちが目指すべきアトピー治療のゴールが見えてきます。それは、

アトピー性皮膚炎が出る可能性は残るけれど、
保湿・スキンケアだけで普通の肌の状態をキープでき、普通の生活が出来ている。

という状態です。

アトピーに限らず、どんな病気の治療でも、その目標

元通りの(病気になる前の)生活を取り戻すこと

だと思います。

 

このように考えたとき、

依然としてアトピー体質だけど、普通の肌で普通の生活が送れているよ。
ステロイド? もう使ってないよ。

という状態は、治療の目標・ゴールとして十分なものだと思えるはずです。

元通りの、普通の生活を取り戻している(又は初めて獲得している)からです。

 

そして重要な事は、アトピー治療のこのような目標は実現可能・現実的であるということです。

  • アトピー性皮膚炎についての正しい知識を得る。
  • まともな皮膚科医の指導のもとにステロイド外用薬を適切に使って皮膚炎を抑える。
  • 同時に、自分のアトピー悪化原因を1つ1つ探し出して取り除いていく。

これができれば、誰にでも達成できる目標です。

2-2. アトピー完治を目標にして無謀な脱ステロイドに挑戦しない

「アトピーを完治させる」ことを目標にして、代替療法・民間療法などによる脱ステロイドに挑戦しても、ほぼ確実に失敗し、アトピーは重症化してしまいます。

100人の脱ステロイド成功例の影には、より多くの失敗例が隠れていると考えましょう。

巷には、脱ステロイド成功体験談があふれていますが、その人たちは「たまたま」アトピーの症状が収まっただけと考えるのが合理的です。

脱ステロイドの失敗体験は誰も語りたくないので、情報として表に出る数は少ないですが、その数は成功例よりも確実に多いはずです。

アトピー性皮膚炎という疾患が「完治させないと、死んでしまう」ような病気であれば、どんなリスクを冒してでも、完治させるための治療を行うべきです。

しかし、アトピー性皮膚炎は死ぬ病気ではありません。根拠に乏しい代替療法による脱ステロイドに取り組むようなリスクを、わざわざ自分から取りに行く必要は全く無いのです。

危険な脱ステロイドを行うことのリスクは、こちらの記事↓で私の悲惨な失敗体験談をお読みになるとよく分かるはずです。

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2-3. もう少し目標設定を下げてもいい

私もそうでしたが、

生まれてこの方、アトピー性皮膚炎じゃなかった時期が無い。

だから、保湿だけで皮膚炎の無い普通の肌がキープできるとは、とてもじゃないけど想像できないんですけど。

という場合も多いかと思います。

 

その場合には、アトピー治療の目標の水準を1段階下げることをおすすめします。

具体的には、こんな感じです↓

基本的には、保湿だけで普通の肌で普通の生活が送れている。

たまに皮膚炎が出るけど、その際にはステロイド外用薬で抑える。

ステロイドを塗る期間は短いし、皮膚炎が出る原因は自分で分かっているから不安は無い。

 

このような目標を達成するためには、

  • 現時点で皮膚炎が酷いのなら、適切にステロイド外用薬を使っていったん綺麗に皮膚炎を抑える。
  • 保湿(スキンケア)を徹底する。
  • 同時に、自分のアトピー悪化原因を探し、取り除く工夫をする。

ということを行えばOKです。

 

特に重要になるのは、ご自分のアトピー悪化原因の特定・除去です。

皮膚炎が出ても、その原因についてある程度わかっていれば、安心してステロイド外用薬を塗ることが出来ます。

なぜなら、その原因を取り除けば、皮膚炎の症状が出続けるということは無いからです。

例えば、「寝不足・夜型の生活リズム」が再び皮膚炎が出てしまった原因なのであれば、生活リズムを戻すといった原因の除去を行うようにします。

仕事の関係でどうしても睡眠不足が続く場合でも、「原因は睡眠不足」とわかっていれば、「その状況が終わるまで待ち、その間はステロイド外用薬を適切に使う」という対処法で乗り切ることができます。

 

このレベルの治療目標を達成するには、皮膚科医の指導のもとにお薬を正しく使い、日々のスキンケアを行うとともに、

アトピー性皮膚炎の状態と日常生活の状況の関係性を良く観察し、ご自分のアトピーの「特徴」についてしっかりと把握すること

が必要となります。

 

これができれば、あなたにとってご自分のアトピー性皮膚炎は、もはや「奇妙な(atopic)」皮膚炎ではなく、「原因と対処法のハッキリとした皮膚炎」に変わります。

そうなる頃には、生活の質は劇的に向上しているはずです。

3. まとめ

長くなってしまいましたが、最後にここまでのお話を簡潔にまとめておきます。

  • アトピー体質は治らないし、アトピー悪化原因が無くなることはない。
  • だから、「アトピーは完治しない」と言われる。
  • 「アトピーの完治」を治療目標にして無謀な脱ステロイドに取り組むのはNG。
  • 「普通の肌で普通の生活が送れること」をアトピー治療の目標にする。
  • そのためには、まともな皮膚科医の指導のもとに標準的な治療を行い、自分のアトピー悪化原因について主体的に探し、取り除いていく。
  • 皮膚炎が出た原因がわかっていれば、ステロイド塗り薬を安心して使うことが出来る。

この記事では、「アトピーは完治しない」という言葉の意味と、アトピー治療の目標について、出来るだけ論理的にお話してきたつもりです。

あなたのアトピー治療のご参考になれば幸いです。


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